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高校生は96%、スマホ限定でも88%…子供達の携帯電話所有事情

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 子供にも欠かせない存在の携帯電話。その保有状況は

小学1年生で16%、高校2年でほぼ全員の携帯電話保有率

防犯に、ネットアクセス用端末として、コミュニケーションの道具に…子供達の間でも携帯電話は欠かせない存在となりつつある。現状の保有状況を、少年教育振興機構が2016年5月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(2015年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で実施。有効回答数は学校数が851、子供の回収数が18031件、保護者が15854件)報告書の結果をもとに確認していく。

次に示すのは直近となる2014年度における、各学年別の携帯電話保有率。今件における携帯電話は(子供向けのGPSを用いた防犯機能に長けた)従来型携帯電話だけに留まらず、スマートフォン、さらにはPHSまで含めたものを指している。また設問では「持っているか」だけを尋ねており、所有権そのものを子供が有している場合に加え、保護者が貸し与え、子供が常用しているパターンも該当する(家族と併用のケースは該当しない)。一方、インターネットが使えるか否かは問われていないので、ネット接続機能が無いもの、あるが封印されているものも該当する。

↑ 自分用の携帯電話を持っているか(2014年度)
↑ 自分用の携帯電話を持っているか(2014年度)
↑ 自分用の従来型携帯電話を持っているか(2014年度)
↑ 自分用の従来型携帯電話を持っているか(2014年度)
↑ 自分用のスマートフォンを持っているか(2014年度)
↑ 自分用のスマートフォンを持っているか(2014年度)

小学生の所有率の中身は大よそが、防犯目的で持たされている携帯電話によるものだろう。小学1年生では15.5%だが、それが少しずつ保有率を上げていく。しかし小学6年生でも33.7%と1/3程度。これが中学生になると53.9%、高校生では95.5%にまで跳ね上がる。

見方を変えると、小学生では携帯電話の所有者は少数派だが、中学生になるとほぼ同率、そして高校生では圧倒的多数派となる。実質的にはインターネットへのアクセスができる事を考えると(許可されているか、制限のあるなしはまた別)、高校生のほとんどは携帯電話を有し、少なくとも電子メールのやり取りはできると見て良い。今調査は2015年2月から3月に実施された結果のため、現在ではさらに値が伸びている、あるいはスマートフォンにシフトしているものと考えられる。

携帯電話の中身を見ていくと、従来型携帯電話は小学4年がピークで3割近く。それ以降は少しずつ所有率が減退。スマートフォンは小学生ではほとんど持たれていないが、それでも小学6年になると1割を超える。そして中学生ではすでに4割、高校生では9割近くとなる。いわゆる格安スマホも機能制限型のスマートフォンもスマートフォンと認識されて回答値に反映されているはずだが、小学6年では10人に1人以上、中学2年でも5人に2人がスマートフォンを有している現状は、ほんの数年前には想像もできなかったに違いない。

経年変化をたどると

これを経年変化で見た結果が次のグラフ。なお「携帯電話」とは従来型携帯電話とスマートフォン双方を合わせたもの。どちらか片方でも回答に該当する。

↑ 自分用の携帯電話を持っているか(経年変化)(「不明」のぞいて再計算)
↑ 自分用の携帯電話を持っているか(経年変化)(「不明」のぞいて再計算)

2006年度から2010年度まではほぼ横ばいだが、2012年度は急激な成長ぶりを示している。この上昇の仕方について当時の報告書では「特に、小学生での平成22年から平成24年にかけての増加が大きく、小学2年では、所有率が約3倍になっている(小学2年平成22年:5.2%→平成24年:17.8%)。これは、GPSや防犯ブザーなどの機能が付いた小学生向けの携帯端末やスマートフォンの普及による影響が考えられる」と説明している。他の多数の調査結果でも2013年、早いものでは2012年から未成年者全体ではスマートフォンの、小学生に限れば子供向け携帯電話の急速な普及浸透が数字となって表れており、この時期に日本の若年層の間に「ケータイ革命」的な動きが生じたものと考えられる。

そして直近となる2014年度では、2012年度に生じた大幅な上昇の勢いは継続中で、5割に届こうとしている。従来型携帯電話とスマートフォンの種類仕切り分けが成されたのが2014年度からのため、詳細を確認することはできないが、恐らくはスマートフォンの急速な普及が2012年度分以上に進み、この流れを形成したものと考えられる。

この2012年度分、そして2014年度分の急激な上昇の動きが、一層把握できるのが、次に示す学年別の動向。

↑ 自分用の携帯電話を持っているか(経年変化)(学年別、「ある」率)
↑ 自分用の携帯電話を持っているか(経年変化)(学年別、「ある」率)

2012年度分ではどの学年でも有意に上昇しているのが分かる。とりわけ小学生、なかでも若年層の急激な上昇ぶりが目立っている。また中学2年や小学2年に見られるように、ここ数年間は減少の動きすら示していた学年が、それこそ特需的な形で上昇している。

そして直近の2014年度分では前回調査で大きく上げた各学年のうち、中学・高校ではいくぶんの下げが見られるものの、小学生ではさらなる増加ぶりが確認できる。特に小学生の間にスマートフォンが普及し始めている状況が想起されよう。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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