文在寅政権、さっそく米国と火種…バイデン政権が始まる前から
米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は17日、米議会の超党派委員会である「トム・ラントス人権委員会が来年早々、このほど韓国議会で成立した対北朝鮮ビラ散布禁止法に関する聴聞会を開催する予定だと報じた。
同法は軍事境界線一帯でビラを散布するなど南北合意書に違反する行為を行った場合、3年以下の懲役または3000万ウォン(約280万円)以下の罰金に処することができると定めたもの。保守系野党は反対したが、圧倒的多数を握る与党・共に民主党が14日に可決させた。
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これに先立ち、委員会の共同議長を務めるクリス・スミス下院議員は11日に声明を発表し、同法は「民主主義の原則と人権に反する愚かな立法」であると批判。「表面的には活気に満ちた民主主義国家が、世界で最も残忍な共産主義統治下で苦しむ北朝鮮国民を支援する行為を犯罪とする立法を進めていることを懸念する」としながら、「法案が成立すれば、米国務省が発表する『人権報告書』はもとより『世界の信教の自由に関する報告書』において、韓国に対して民主主義的価値の守護に関して再考するよう要請する」と予告していた。
聴聞会はこうした行動の最初の段階になると見られる。
また、議会のみならず米国当局も、外交チャンネルを通して同法に対する懸念を韓国政府に伝えている。米紙ワシントンポスト17日付のコラムで、「スティーブン・ビーガン国務副長官が8日から11日にかけて訪韓し、対北ビラ活動を犯罪化する今回の法案への、米政権の懸念を非公式の形で伝えた」と明らかにした。さらに同紙は「今回の法案通過がワシントンの反発を触発する要因になっている」ともしている。
しかし韓国の文在寅政権と与党は、北朝鮮がビラ散布用の風船を銃撃した2014年の事件を引き合いに出し、同法は「北朝鮮との境界地域の住民の安全のため」「表現の自由は絶対的ではない」などと主張し、聞く耳を持とうとしていない。
だが、対北ビラの散布を禁じる動きは今年6月、北朝鮮の金正恩党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が強く要求したところから始まったのは、誰もが知るところだ。同法の目的が「住民の安全のため」とするのは詭弁で、北朝鮮の歓心を買おうとするものであることは明らかだ。
「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会」(COI)元委員長のマイケル・カービー氏は17日、英国議会の聴聞会で、米国のバイデン次期政権が人権問題を重視した対北朝鮮外交を行うだろうと展望しつつ、対北ビラ禁止法を巡り、韓国とバイデン次期政権が衝突する可能性に言及した。文在寅政権は、バイデン次期政権がスタートする前から火種を抱えてしまったのかもしれない。