【さいたま市岩槻区】手元に残る〈ZANGAI〉への想いを形に。岩槻で「ZANGAI展」を開催中
岩槻駅から徒歩5分ほどのところにある「シェアキッチンChaTora」にて、毎週木曜日に出店中のアートスペース「LivingRoom(リビングルーム)」では、アート展「ZANGAI(ザンガイ)展」を2024年9月5日(木)より開催しています。
壊れて本来の機能を失っても、捨てずに手元に残っていた残骸には何らかの意味があると捉え、〈ZANGAI〉として新たにアップサイクルした作品が展示されています。
展示作品の一部をご紹介します。
■つつみん:「CCW&E's その後」
以前、広島で出品した作品の〈ZANGAI〉を展示し、新たな作品への昇華を試みたものだそうです。
作品の上部で使用されている枝は、広島の被爆樹木「シダレヤナギ」が使用されているとのこと。爆心地から近い場所で被爆した樹木が、今なお生き続けているという力強さを知ることができます。
■岡﨑万奈・FRUOR:「この青い星に生きる全ての人へ祝福を祈る」
造花やプリザーブドフラワーなど20種類以上の花を使用し、枯れた地面や枯れた枝から少しずつ芽吹いて花が開いていく季節の変化や時間の経過を、年輪のように渦や奥行きを持たせることで表現しているとのこと。
生きていて苦難の冬枯れの時があったとしても、だからこそ力強く根を張り芽を出し、再び花開く時もまた必ずやってくるという希望が込められているそうです。
また、少し上からのぞき込むと土台の部分にも芽吹きまでの道のりを感じるデザインを仕込んでいるとのことでした。
■Yajack:「HERO」
子ども時代の残骸である塩ビの人形(戦隊物)に、千代紙を丁寧に貼り製作されています。1種類の千代紙のみを使用して作ることで、何者かわからない匿名性を際立たせているとのこと。
遊ぶ対象から仏様のような拝む対象へとリメイクすることで、自分にとっての新たなマイヒーロー(偶像崇拝)として再生した作品だそうです。また、「人形のまち」に展示するということでセレクトした作品でもあるとのことでした。
また、10月から2階のアトリエスペースは、作品展示に加えて試験的にみんなのさいたまアーツ・アーカイヴ資料館 (さいたまトリエンナーレの関連資料などを展示)として稼働しています。
こちらの資料は、木曜以外のオープン日にもご覧いただくことが可能だそうです。
なお、店内の展示は毎過変化し、当初4名だった出展者さんも増え続けているのだとか。
今回ご紹介した作品以外にも、いろいろな想いが込められた素敵な作品が楽しめます。
また、出展者のひとりである鈴木知佐子さんは、はぎれ布による装飾を施したパーカーを着ていました。
残骸と見なされるはぎれ布に手を加え、デザインとして活用したものを着用することで〈ZANGAI〉としての新たな価値を体現し、使い捨て社会への警鐘を鳴らしていました。
毎週木曜日に現れ翌日には消えるという蜃気楼のような展示ということで、作家さんたちは毎週イチから展示作業を行っていますが、店内はいつも和やかな雰囲気です。
「ライトはどこに置く?」「横にあの作品を置いたら映えるかな?」「場所が変わると見え方が変わるね!」などと、作家さんたちが互いの作品を尊重しつつ、展示会場を作り上げていく様子を楽しむことができるのも、「Living Room」ならではの魅力のひとつかもしれません。
その他、展示作品やお店についての最新情報などは、「Living Room」公式Instagramをご参照ください。
なお、「ZANGAI展」の開催は11月28日(木)までとなっています。実際の作品を鑑賞してみたいという方はもちろん、自分の持っている〈ZANGAI〉を展示してみたいという方も、ぜひ足を運んでみてください。
【店舗情報】
住所:〒339-0057 埼玉県さいたま市岩槻区本町4丁目1−7 シェアキッチンChaTora
営業時間:13:00〜20:00頃
営業日:毎週木曜日