「顔文字を使わない」41.2%…改まったメールの形式の認識をさぐる
最近ではソーシャルメディアやそれに付随する機能のダイレクトメールなどで済ませてしまうケースが増えているものの、(電子)メールが今でもインターネット上の意思疎通や情報のやり取りにおいて欠かせない存在であることに違いは無い。そのメールにおける改まった形式でのメールのやり取りの実情・認識を、文化庁の調査「国語に関する世論調査」(※)の最新版となる2017年度版の概要報告書の内容から確認する。
次に示すのはメールにおいて、仕事上などで改まった形式でやり取りをすることがあるか否かを尋ねた結果。
仕事をしていない人でも何らかのお願いの形で改まったメールをする必要性は生じ得る。しかし全体では48.0%しか該当者がいない。16~19歳ではまだ職に就いていない人も多いため60.2%の人が無いとしているが、20代から50代まではあるとの回答が多数を占めている。それでも年齢が上になるに連れてある人の割合が減っているのは、メールそのものに慣れていないからなのか、目上の立場にいるため改まる必要が無い、あるとしてもメールでは無く直接相対しないと失礼に当たると考えているからなのかもしれない。
60代以降は退職している人も出てくるため、無い人の方が多くなる。特に70歳以上では80.7%もの人が無いと答えている。
それでは具体的に、どのような形式が「改まったメール」なのだろうか。「改まったメールに決まった形式がある」と思う人に対し、想定される形式を例示し、該当すると思うものを複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。
もっとも多くの人が同意をした形式は「挨拶の言葉を入れる」で74.6%、次いで「宛名を入れる」が72.7%、「最後に所属や氏名などの署名を入れる」が65.9%。逆に「改まったものでなく、普通のメールでも使わないか?」との疑問を持つ人もいるかもしれないが、身近な人とのやりとりでは入力が面倒、通信量が多くなる、ぱっと読みできない、単刀直入に意思を伝えたい・受け取りたいなどの理由で、これらの形式を用いていない場合が多々あるものと考えられる。メールをSMSやLINE感覚で使っている場合は、特にそういうことが多いはずだ。
次いで「適宜改行」「冒頭で所属や氏名を名乗る」「『(笑)』『♪』、顔文字、絵文字などは使わない」などが続く。特にチャットやソーシャルメディアでのやり取りと同じ感覚でつい「(笑)」「♪」「★」や絵文字などを用いてしまうと、ビジネス文書ではよい印象を得られない可能性があるので注意が必要となる。
改まったメールの書き方は専門書の類や解説サイトを読めば知識は得られるが、慣れるまでには時間もかかるし苦労もする。やはり普段から何らかの形で練習をしておいた方が、失敗の可能性は減らせるだろう。あるいは自分宛てに送られてくる、改まったメールを参考にするのもよいかもしれない。
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※国語に関する世論調査
最新分となる2017年度版は2018年3月に全国16歳以上の男女に対して個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は2022人。調査対象の抽出方式や属性別構成比は非公開。
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