【気候変動】2050年の気温上昇で死亡リスクが2倍以上に!皮膚疾患への影響も
【気温上昇による死亡リスクの激増】
地球温暖化の影響で、極端な高温や低温の日が増えています。アメリカの研究チームが2036年から2065年までの気温変化を予測したところ、驚くべき結果が明らかになりました。
現在、アメリカでは年間約8,250人が極端な気温が原因で亡くなっています。しかし、温室効果ガスの排出が今のペースで続くと、2050年頃には年間26,600人以上が亡くなると予測されています。これは現在の3倍以上です。
温室効果ガスの排出を抑える努力をしても、年間19,350人程度が亡くなると予測されており、現在の2倍以上になります。つまり、私たちが今すぐ行動を起こさなければ、多くの命が失われる可能性があるのです。
【高齢者と有色人種への深刻な影響】
この研究では、年齢や人種によって影響の受け方に大きな差があることも分かりました。
65歳以上の高齢者は、極端な気温による死亡リスクが若い世代の1.6倍以上になると予測されています。高齢者は体温調節機能が低下しているため、熱中症や低体温症にかかりやすいのです。
また、ヒスパニック系やアフリカ系アメリカ人など、有色人種の方々への影響も深刻です。白人に比べて、ヒスパニック系は5.4倍、アフリカ系アメリカ人は2.8倍も死亡リスクが高くなると予測されています。
これには、経済的な要因や居住環境の違いが関係していると考えられます。エアコンの普及率が低い地域や、ヒートアイランド現象の影響を受けやすい都市部に住む人が多いためです。
【日本への警鐘と皮膚疾患への影響】
この研究結果は、日本にとっても重要な警鐘となります。日本も高齢化が進んでおり、2050年には65歳以上の人口が約40%に達すると予測されています。つまり、日本も極端な気温による健康リスクが高まる可能性があるのです。
さらに、気温上昇は皮膚疾患にも大きな影響を与えます。高温多湿な環境では、アトピー性皮膚炎や湿疹が悪化しやすくなります。また、紫外線量の増加により、皮膚がんのリスクも高まる可能性があります。
日本でも、気候変動による健康への影響を重視し、特に高齢者や経済的に弱い立場の方々への支援を強化する必要があります。同時に、皮膚疾患への対策も急務です。日焼け止めの使用や適切な保湿ケアの啓発、早期発見・早期治療のための定期的な皮膚チェックの推奨など、具体的な対策を進めていくべきでしょう。
気候変動は、遠い将来の問題ではありません。私たち一人一人が、温室効果ガスの排出削減に取り組むとともに、極端な高温に備えた対策を考える必要があります。エアコンの適切な使用や、こまめな水分補給、涼しい場所での休憩など、身近なところから始められることがたくさんあります。
また、地域全体での取り組みも重要です。緑地を増やしてヒートアイランド現象を緩和したり、高齢者や独居の方への見守り体制を強化したりすることで、リスクの高い方々を守ることができます。
気候変動は、私たちの健康に直接影響を与える重大な問題です。この研究結果を真摯に受け止め、今すぐに行動を起こすことが重要でしょう。
参考文献:
Khatana SAM, Szeto JJ, Eberly LA, et al. Projections of Extreme Temperature–Related Deaths in the US. JAMA Netw Open. 2024;7(9):e2434942. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.34942