再び上昇してきた原油価格
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1日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物は7日続伸となった。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の10月限は前日比1.92ドル高の1バレル85.55ドルとなった。一時、85ドル台後半と期近物として昨年11月中旬以来の高値を付けていた。
サウジアラビアが10月も自主減産する見通しとの観測が出たことや、ロシアが、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成するOPECプラスの他の産油国と、原油の輸出を削減することで合意したとも伝わった。これを受けて主要産油国による供給が減るとの見方から需給の引き締まりを意識した買いが入った。
WTI先物の日足チャートをみると、昨年7月に100ドルの大台を割り込み、今年5月には一時64ドルを割り、ここが直近の安値となった。その後、徐々に切り返し、ここにきて85ドル台を回復してきた。チャートから見る限り、今後再び90ドル台を回復してくる可能性がある。
資源エネルギー庁が発表した、8月28日時点の価格(全国平均)は1リットル185.6円と、統計開始以降の最高値を15年ぶりに更新した。
これは円安による影響が大きいが、原油価格そのものの上昇も影響してきている。次回は6日にレギュラーガソリンの店頭価格調査の結果が発表されるが、小幅に上がるとの見方が強い。
ここにきての国内のガソリン価格の上昇は政府が石油元売りに支給している補助金が、6月から段階的に減っていることも大きい。
急激なガソリン高に対する批判を受け、政府は9月末に終了を予定していた補助金を年末まで延長する方針を示した。10月中に全国平均のガソリン価格が1リットル175円程度になるよう、段階的に拡充する。
これは家計などへの負担軽減が目的ながらも、その原資を考えれば、長い目でみて本当に負担軽減なのか。それによって本来のガソリン価格の居所が掴めず、国内の物価上昇とその要因を見えにくくさせてしまっている側面もある。