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7月募集の個人向け国債、変動10年初期利子は0.72%と2012年1月以来の高い水準に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 3日に7月に募集される(7月4日~31日)個人向け国債の発行条件等が発表された。

「個人向け国債の発行条件等」財務省 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/houdouhappyou/p20240703.pdf

 これによると変動10年の初回の利子の適用利率が0.72%(税引き前)となった。これは2012年1月の0.72%以来の高い水準となる。

 固定5年の利率は0.61%(税引き前)となり、前回の0.59%から引き上げられた。こちらは2009年9月の0.82%以来の高い水準となる。

 固定3年の利率は0.38%(税引き前)と、前回の0.40%から引き下げられた。これは市場での7月の日銀の金融政策決定会合での利下げ観測がやや後退したためである。それにより2年、3年あたりの国債利回りが前月に比べてやや低下していた。

 三菱UFJ銀行の3年スーパー定期の利子が0.15%なので、それに比べると倍以上となる。銀行によっては条件付きながら0.38%を上回るところもある。しかし個人向け国債も資金運用先として魅力的であることも確かではなかろうか。

 個人的にはやはり10年変動をお薦めしたい。これは今後の日本の長期金利の動向を読む必要があるが、私は日銀は今後利上げを続けると予想しており、長期金利(10年国債利回り)もそれに応じて上昇するとみているためである。

 10年変動でも1年経過すると売却は可能であり、元金は保証されている。さらに国債であるため安全性は極めて高い。

 預金保証制度では預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護されている。

 これに対して個人向け国債は法人が持つことができず、これは販売する証券会社等も同様である。

 つまり個人向け国債を買った人は証券会社等を通じてはいるが、財務省から購入したことになる。このため預金保証制度などに関係なく、1000万円を超えても国の信用の元に買い入れることが可能となる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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