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「ロバート」秋山竜次を大ブレークさせた梅宮辰夫さんの男気

中西正男芸能記者
梅宮辰夫さんの写真パネルを手に笑顔を見せる秋山竜次(2014年筆者撮影)

 2014年、ヤフー拙連載「私の恩人」でお笑いトリオ「ロバート」の秋山竜次さんにインタビューをしました。

 人生の恩人を挙げてもらい、その人への思いを語ってもらう連載だったのですが、秋山さんが名前を挙げたのが梅宮辰夫さんでした。

 当時の秋山さんは大御所感たっぷりの自らのボディーに著名人の顔写真を合わせていく“体ものまね”や熟女好きキャラなどで人気者への階段を駆け上がっていましたが、今ほどブレークはしていない状況でした。

 当時の取材メモを振り返ると、秋山さんはこんな話をしていました。

 「芸人として本当に悩んでいたことをかき消すきっかけとなったのが梅宮さんの写真を使った“体ものまね”だったんです」

 そもそも“体ものまね”をやるきっかけになったのは、今から7年ほど前、楽屋で着替えている時に、先輩トリオ「ニブンノゴ!」の宮地謙典さんから「その体に、梅宮さんの顔写真パネル、合うんじゃない?」と言われたことだったといいます。

 以前から「体つきに大御所感がある」とイジられてはいたものの、漠然としたイジりがネタとして成立するのでは。手ごたえを感じたのが、その瞬間だったそうです。

 それからしばらくして、大阪の番組で初めて“体ものまね”を披露したところ、ウケにウケた。そこからピンの仕事が急増し、フジテレビ「爆笑レッドカーペット」などで注目され、現在のブレークにつながりました。

 それでも、梅宮さんにはなかなか挨拶をする機会がなく、写真を使う許可だけを事務所を通じてとって、半年くらいネタを続けていました。そんな中、名古屋で「ロバート」がやっている番組に梅宮さんがスペシャルゲストとして来ることになり、おそるおそる、楽屋に挨拶に向かいました。

 「挨拶すると『お前か、オレの顔を使ってるのは』と。硬直しながら『ハイ』と言うと『オレは何が面白いんだかわかんないんだけど(笑)、やるんだったら、中途半端じゃなく、つきつめろよ。そのためには、オレのどんな写真でも使っていいし(梅宮さんの妻の)クラウディアの写真でも何でも使っていいから。オレに関することは何をどうやってもいいから、ちゃんとした芸をやれよ』とアツい言葉を言っていただきました」

 そこからしばしば共演もするようになり、2013年、秋山さんに子どもが生まれた時、梅宮さんから連絡がありました。

 「『子ども産まれたんだってな。おめでとう!女の子か、いいもんだぞ!お祝い、何がいいか考えたんだけど、オレからの祝いは“お前の好きな時にいつでもオレのクルーザーで沖に出て、お前の体をオレと一緒の色に焼かせてやる”ってのにしようかなと。それだったら、正真正銘、ホンモノのオレの色になるだろ?』と言っていただきました」

 豪快で、やさしくて、気遣いにあふれる。「この上なく、素敵なお祝いをいただきました」と何度も繰り返す秋山さんの後ろに、大きな、大きな梅宮さんの姿が見えた取材でした。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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