スマホ持ちの高校生は一心同体、半数は「起きたらすぐにスマホにアクセス」
スマホ持ち高校生の5割は起床後、顔を洗うようにスマホへアクセスする
多種多様な機能を有するスマートフォンは、好奇心旺盛な若年層には魔力を持つアイテム。実際、スマホを有する高校生は日中あらゆるシーンで、アクセスする傾向にあることが確認されている。
次のグラフはリクルート進学総研が2013年8月に公開した、高校生を対象にしたアンケート調査結果。スマートフォンと一般携帯電話(フィーチャーフォン)それぞれの保有者に対し、日常生活の各シーンの中で、どのような場面において「利用することが多いか」(利用しているか、ではなく高頻度の利用を指す)を聞いた結果。一般携帯利用者と比べ、スマートフォン利用者が「スマホべったり」な状態であることが分かる。
一般携帯電話を持っていた人が、スマートフォンに買い替えをしたところ、利用時間が増えたという人は多い。出来ることが桁違いに増え、個々の機能の利用しやすさも格段に向上するため、より深みにはまるからに他ならない。今調査結果でも一般携帯電話と比べるとスマートフォンにおける各利用場面での利用頻度は概して2倍に増加しており、縦横無尽に使い倒し、時間を費やしているようすがうかがえる。
朝起きたらすぐにスマートフォンにアクセスは約5割、帰宅のさなかには6割、夕食を食べてからのプライベートタイムには6割を超えている。今件回答は「高頻度」のみでの回答なので、時々利用している事例まで含めれば、さらに数十%ポイントは上乗せされるに違いない(無論「学校授業中」の16.6%、「塾などの時」の10.5%は咎められる対象である)。
一番よく使われているのは、「落ち着いてから布団に入るまで」。平日における、もっともくつろげるプライベートタイムである。このタイミングも含め高利用度のシーンと、別調査(総務省の情報通信政策研究所)による、ソーシャルメディアの利用シーンを合わせ見ると、スマートフォンへのアクセス目的が、多分にソーシャルメディアの利用であることが想像できる。
そしてこの調査でも「起床直後」における利用は高校生や大学生がきわめて高い値を示している。さすがに睡眠時はアクセスは出来ないため、寝ている最中は(彼ら・彼女らにしてみれば)長時間スマートフォン、ソーシャルメディアから離れたことになる。自分の寝ている間に何かが起きているかもしれない、自分の発言に何らかのリアクションがあったかも、面白い話が交わされていて乗り遅れたらどうしよう。常に流れていくスマホ内の時間の中で、置いて行かれるのを避けるべく、起床直後からのアクセスを行うことになる。
スマホを介したソーシャルメディアは第六感?
彼ら・彼女らにとって、スマートフォンを介してアクセスできるソーシャルメディアの世界は、身体が持つ五感とは別の、新たな感覚器官のような立ち位置を占めているのだろう。だからこそ、その器官を常に使い新しい情報を出し入れし続け、その機能が止まっている(使えない)状態が続くと極度な不安を覚えるようになる。朝起きたら、登校時、帰宅時に、自宅に戻ってからも、夕食を食べてからも、布団に入ってもアクセス。まるで息をしてるかのように利用を続けている。
テレビや新聞、雑誌など他メディアがその位置足りえないのは、あくまでも一方向、「受信する」のみでしかないから。スマホによるソーシャルメディアは双方向(情報を受け取る、情報を発信する)の利用が逐次可能なため、自分の感覚器官のような印象を覚えるようになる。機動力も高く、常に身に着けられるのだから尚更だ。
コミュニケーションが活発化されること自体は悪い話ではない。しかし一定の閉ざされた領域内でのやり取りのみが高密度となり、他の世間一般との間に断絶感が生じるリスクが生じることになる。そしてオンライン上のコミュニケーションは概して「全世界への公開情報」と成り得るにも関わらず、身内だけの限定した交流と誤解してしまう懸念が生じてくる。昨今の若年層における「炎上」の連鎖も、「生活に過度に密着した、限定された対象とのやりとりの高密度化により、オープン領域での交流であることを忘却してしまう」が一因にあるのかもしれない。
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