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フィル・ミケルソンが、PGAツアーを提訴したリブゴルフの訴訟から「抜ける」ことを検討中!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 かつては米ゴルフ界のビッグスター、現在はリブゴルフを代表するスター選手であるフィル・ミケルソンがPGAツアーを反トラスト違反で提訴した訴訟から「抜ける」可能性が高いことが、米スポーツイラストレイテッド誌によって報じられた。

 今週、米イリノイ州シカゴ郊外で開催されるリブゴルフの第5戦(9月16日~18日)に出場するミケルソンは、15日のプロアマ戦後に同誌の取材に応え、「訴訟に必ずしも僕が求められるわけではない。今は(原告側に)まだ入っているが、今後どうするか検討している」と語った。

 この訴訟は、リブゴルフの選手11名がPGAツアーを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴したものだが、そのうちの3名(テーラー・グーチ、マット・ジョーンズ、ハドソン・スワフォード)は、その裁判に先行して、昨季のPGAツアーのプレーオフ・シリーズ第1戦だったフェデックス・セントジュード選手権への出場を求め、PGAツアーに資格停止処分の一時停止を求める仮処分を申請した。

 その審問は8月8日に米カリフォルニア州の連邦裁判所で開かれたのだが、ベス・ラブソン・フリーマン判事はリブゴルフ側の訴えを全面的に却下。リブゴルフ側の「完全敗訴」となった。

 そして、PGAツアーが反トラスト法に違反しているかどうかが問われる「本番」の裁判は、2024年1月に設定された。

 そんな経緯の中、リブゴルフ側の原告11名からは訴訟からの辞退者が続出。すでに4名(カルロス・オーティス、パット・ペレツ、ジェイソン・コクラック、エイブラハム・アンサー)が抜け、現在は7名に減っている。

 グレッグ・ノーマン率いるリブゴルフ自体は、そもそもは原告に加わっていなかったが、11名から7名に減ってしまった「人数不足」「パワー不足」を補うかのように、8月末になってから訴訟に加わった。

 今後、ミケルソンが原告から抜ければ、原告側は当初の半分に近い6名とリブゴルフ本体ということになる。

 それにしても、なぜミケルソンは訴訟から離れることを検討しているのか。

 「僕が訴訟に関わる理由は、選手の金銭的ダメージが生じるときのみだ」

 元々、ミケルソンはグーチなど3名がフェデックス・セントジュード選手権に出場できなくなることで彼らが被る金銭的ダメージが多大であると考え、3名の仮処分申請を助けることを主目的として原告側に加わったという。

 しかし、その審問が敗訴に終わった今、2024年1月に控える「本番」の裁判に対しては「僕が必ずしも加わっている必要性はない」と考えている。

 「僕はリブゴルフを“ワールドワイド”から“グローバル”に成長させたい。そのための行動を取り続けるには、訴訟から抜ける方が動きやすい」

 なぜ訴訟から抜ける方が動きやすいのか。その真意までは明かされなかったが、ミケルソンが訴訟から抜けることを検討していることは「ミケルソンとリブゴルフとの不協和音が生じているからではないか」と見る向きもある。2024年1月の裁判まで、リブゴルフ側の原告が存続するのかどうかに首を傾げる米メディアもいる。

 リブゴルフとPGAツアーの戦いは、今後もいろいろな場面で話題になりそうな気配だ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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