ホンダの「完全自立型電動バイク」が広げる可能性とは!?
東京モーターショー2017がいよいよ近づいてきましたね。
その中でもひと際注目を集めそうなのが、世界初公開となるホンダの「Honda Riding Assist-e」でしょう。ヒューマノイドロボット研究で培ったホンダ独自のバランス制御技術を、二輪車に応用したコンセプトモデルです。
極低速域でのバランス制御をアシスト
▲Honda Riding Assist-e
ロボティクス技術を活用したアシスト機構によってマシンのバランスを制御することで、極低速における走行をアシストする仕組みだとか。
渋滞や信号での発進・停止時などでの乗りやすさや安心感を高めることで、ライディングの醍醐味を損なわずに、モーターサイクルのある日常をより気軽で楽しいものにするという狙いがあるそうです。
また、パワートレインに電動モーターを使用する「e-Drive」を採用することで環境にも対応。2030年ビジョンでの『自由で楽しい移動の喜び』や『カーボンフリー社会の実現』を具現化する、ホンダからの新たなモーターサイクルの提案となっています。
▲Honda Riding Assist-e
ステアリングによる補正機能を搭載か!?
▲Honda Riding Assist
実は今年1月にホンダは米国ラスベガスで開催された家電見本市「CES2017」において、完全自立型バイク「Honda Riding Assist」を発表しています。動画もアップされていましたが、バイクが自分でハンドルを左右に切ってバランスをキープし続ける姿には驚かされました。
アシスト機構の要はおそらくはコンピュータが制御するモーター駆動のステアリングユニットにありそうです。フロントタイヤと路面との間に生じる操舵抵抗、および前輪接地点の移動による重心移動の効果によって連続的にバランス補正を行う仕組みのようです。
▲Honda Riding Assist 紹介動画より
Honda Riding Assist 紹介動画
完全自立により「バイクとお散歩」も
この技術は、ライダーが乗っていても、乗っていなくても自立することができ、ライダーが少しバランスを崩しても、バイク自体がバランスを保つことで低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒リスクを軽減するというもの。
映像では女性エンジニアの後を追って自動的に追尾する様子も描かれるなど、バイクとお散歩できる楽しい未来を連想させてくれるものでした。
このときの実験車はNC750Sをベースにしていたようですが、今回の東京モーターショーで公開される最新型ではパワーユニットが電動化され、デザインもより未来的に洗練されています。ぜひこのまま市販化してほしいと思える相当インパクトがあるマシンですね。
立ちゴケなどの転倒リスクを大幅に低減
繰り返しになりますが、ホンダのライディングアシスト機構は、通常の走行時には既存の2輪車と同等の操縦性を実現しつつ、極低速領域での安定性を高めることでバイクのある日常をより安全で楽しいものにする提案です。
事実、Uターンや取り回しなどは多くのライダーが苦手意識を持っていて、実際の些細な転倒などはこうした極低速域でバランスを失うケースがほとんどであり、従来の2輪車の持つこうしたウィークポイントを補うものになると期待できます。
バイクの楽しみをより幅広い層へ
▲Honda Riding Assist-e
将来的にはライディングアシストの普及により、体格や体力のハンデを気にせずに好きなバイクを選べるようになったり、体の不自由な人も含めてより幅広い層にバイクの楽しみを広げる機会になるかもしれません。
これから超高齢化社会を迎える日本のバイク業界にとっても嬉しいニュースでしょう。
また、パワートレインの「e-Drive」には大容量バッテリーを搭載していることから、災害などの非常時には家庭用バックアップ電源として使用できる可能性もあります。技術革新が日常生活をより豊かにしたり、新しいマーケットを創造したりする好例と言えるでしょう。今後も大きな期待を持って見守りたいプロジェクトです。
▲Honda Riding Assist-e
「Honda Riding Assist-e」は第45回東京モーターショー2017(プレスデー:10月25日~26日、一般公開日:10月28日~11月5日)にて公開されます。ぜひ会場に足を運んでいただき、未来を実感していただけたらと思います。