「まだ若いから」が「相手が見つからない」へ…独身が独身でとどまる理由
結婚を望む独身者は多いが、結果として独身に留まっている人も多数に及ぶ。その理由を国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」から確認していく。
年齢によって多少の差異はあるが、今調査の最新値となる2015年分においては、独身者の8割から9割の人が(タイミング・意思の強さの度合いを別にすれば)結婚をしたいと考えている。しかし対象回答者は独身である以上、現実問題として結婚していない。ではなぜ独身者の立場に留まっているのだろうか。複数の事情が想定されうるが、選択肢の中から3つまでを選んでもらったのが次の結果。最新の調査結果では24歳までが「若すぎる」「仕事・学業に打ち込みたい」、25歳以上になると「適当な相手に巡り合わない」がトップになる(公開資料の限りでは回答者の年齢区分は18~24歳と25~34歳のみである)。
選択肢をよく読めば分かるように、左側5つは「結婚”しない”理由」(自分の意思が強い)、右側5つは「結婚”できない”理由」(本人の意思とはあまり関係が無く、外部的要因が強い)となっている。そして若年層では圧倒的に左側の項目が大きな値を占めており、自分の意思で結婚を避けている様子が分かる。外部的要因としては「相手」と「お金」の問題がやや大きい程度。
それが25歳を過ぎると、内部的要因はほとんど低下する。その一方、「適当な相手に巡り合わない」の値は増加している。25歳以上の結婚を妨げる要因として、これが大きなハードルとなっているのが分かる。ただしこの「適当な相手」が、単純に妥当線を意味する「適当」なのか、高い理想を求めた上でその理想に近しい意味を持つ「適切」も兼ねた「適当」なのかまでは判断できない(要は理想が高いのが遠因なのか否か)。特に女性の25~34歳の過半数がこの回答を選んでいるあたり、理想のハードルが高い感はある。
一方、「結婚資金が足りない」の25~34歳時回答は男性が女性の2倍近い。昨今問題視されている男性の結婚忌避感の増加一因には、経済面があると考えてよい。
また、「自分の意思」的な項目の「自由や気楽さを失いたくない」は、25歳を過ぎた方が高い割合を示している。自由で気楽な生活に慣れてしまったのか、「結婚」と「自由や気楽さ」を天秤にかけた上で「結婚」の重みが(諦めや現実の厳しさの認識で)軽くなってしまったための結果かもしれない。さらには「自由や気楽さ」で得たものの重みが増したことも考えられる。例えば女性で昇進を重ねて重責を任されるようになった状態などが想定できよう。
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