仕事するほど寝る時間も遅く…男女・曜日・就業状態別就寝時刻(2024年公開版)
就寝時刻からライフスタイルが透けて見える
就寝時刻は人の元々の性質だけでなく、ライフスタイルによっても大きな違いが生じる。特に仕事からの帰りが遅い人は、必然的に寝る時間も遅くなりがち。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用い、就寝時刻(今件では17時以降で翌日のお昼よりは前に始まり、60分を超えて続く睡眠の開始時刻)の実情を確認していくことにする。
まずは直近2021年における就寝時刻だが、平日は男性が23時06分、女性が23時02分と、女性の方が4分早い。女性の方が早起きなことや、一人暮らしの男性において仕事で帰宅が遅く、就寝時刻もずれ込む事例が多いからだと思われる。
ほんのわずかだが、男性は土曜では平日と比べて早く寝るのに対し、女性は夜ふかしになる。これは翌日の日曜がお休みで、多少遅く起きても寝坊の心配が不要のためだと思われる。一方、日曜は就業者も休みを取る場合が多く日中のスケジュールに余裕ができ、早く翌日からの一週間に備えるため(あるいは少しでも長く睡眠時間を確保するため)に床につけるのが、平日よりも早めに寝てしまう原因。23時前には就寝してしまう。
これを就業別に見ると、男女とも「有業者は平日・土曜よりも日曜の方が早く就寝する」「無業者は平日と土曜・日曜との差がほとんどない」との動きが見られる。見方を変えれば、就寝時刻は就業時間(厳密には就業終了時刻)に大きく左右されることになる。この傾向は夕食開始時刻とほぼ同じため、夕方以降のスケジュールが就業で一様に、ところてん式にずれ込んでいることが分かる。
多くの人が休みを取る日曜でも、有業者と無業者との間に男性で15分ほど、女性で約30分の差が出るのは「日曜勤務の人」「平日の習慣上」双方の理由によるものだろう。また就業者は休日でも、準備などでそれなりに時間を取られることも一因。さらにいえば無業者は高齢層の比率が高いため、早めに就寝してしまうのも影響しているものと考えられる。
5年間の変化は
今調査結果では5年前、つまり2016年時点における就寝時刻の値も取得可能。そこで5年間の変移を計算したところ、男女とも平日・土日を問わず早まる傾向が確認できた。
残業や土曜出勤者が減れば帰宅時刻も早まるため、就寝時間を前倒しにすることができる。就寝時刻の早まりは、これで説明できそうではある。あるいは、新型コロナウイルスの流行で生じている在宅勤務の影響で、時間に余裕ができ、早めに就寝できるようになったのだろうか。
これをさらに就業状態別に細分した結果が次のグラフ。
有業者と無業者間における、5年間の就寝時刻の動向に関する傾向は見いだせない。男性では有業者の早まり具合が大きく、無業者がほとんど動きがないどころか、日曜には遅くなっている動きを見ると、新型コロナウイルスの流行で生じている在宅勤務の影響が大きそうだ。
しかしながらいずれも数分の単位でしかなく、無業者の「有業者より早寝」の動きには変わりはない。元々、無業者ほど夕食開始時刻が早まる動きが今調査では確認されており、それがそのまま夕食後の各種行動時間、そして今回の就寝時刻にまで影響を及ぼしているのだろう。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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