シンガポールも「歩きスマホ」対策、繁華街の道路に「埋込信号」
シンガポールでも「歩きスマホ」が問題になっており、歩行者の事故が急増している。シンガポール警察によると、2016年の1年間で歩行者の死亡事故が48人で、負傷者が982人にも上った。2012年から毎年40人以上の歩行者が事故に巻き込まれて死亡している。また毎年900人以上の歩行者が負傷している。その要因の1つが「歩きスマホ」による不注意だ。
シンガポールの繁華街2か所に埋込信号
そこで、シンガポールの陸上交通庁(LTA:Land Transport Authority)は2017年5月9日から、LEDの照明器具を道路に信号として埋め込んだ。歩行者用の信号だけでなく、いわゆる道路への埋込信号をシンガポールの繁華街オーチャードロードとブヨンロードの交差点、ブギスジャンクション付近のビクトリアストリートの2か所に設置した。
信号待ちの時はずっとスマホばかり見ているので、信号が赤なのか青に変わったのか見ていないことから、事故に巻き込まれやすい。そこで道路に埋め込まれたLEDの信号をチェックすることによって、スマホを見ながらでも信号が変わったことがわかり、横断歩道歩行時の事故軽減を図ろうとしている。
Singapore Road Safety Councilの会長Bernard Tay氏は「このような埋込信号が導入されたとしても、横断歩道を渡る時は車に注意して、歩行者は責任をもって自身の安全を確保してほしい」と訴えた。
埋込信号の設置費用は約100万円。日差しの強いシンガポールでもLEDの埋込信号は認識しやすく、通常の信号と同様に24時間稼働するようだ。シンガポールでは昼夜問わずに歩きスマホをしているが、夜の方が日差しがないからスマホの画面が見やすいので歩きスマホをしている人も多い。今後6か月間を試験期間としており、その間に埋込信号がシンガポールの環境や気候にあっているかなどを調査したり、市民から使い勝手や有効性に関する意見も募集する。
世界中で導入が始まる「埋込信号」
「歩きスマホ」対策としての道路での「埋め込み信号」はシンガポールが初めてではない。2016年5月にはドイツでも路面電車との接触防止のために、道路に「埋め込み信号」を導入。オランダでも2017年2月に導入している。
もはや世界規模で「歩きスマホ」は無くならない。むしろスマホがないと歩行ができないのではないかと思われるほど「歩きスマホ」は増加している。信号待ちの時には、ほとんどの歩行者がスマホをチェックしており、そのまま歩き出してしまい事故が減少しないなら、いっそのこと道路に信号を埋め込もうという逆転の発想が、主流になりつつある。世界中で信号は道路に埋め込まれる日はそう遠くないかもしれない。
以下はシンガポールの現地メディアが報じた動画。