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業界規模は3.2兆円…日本のお菓子業界の現状を探る

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 多彩なパッケージによるお菓子が並ぶ。それはまるで宝石箱のようでもあり…

2013年は3兆1757億円、日本のお菓子業界の現状

お菓子は老若男女を問わず食生活に彩りを添え、憩いのひと時を与えてくれる、憧れのアイテムに他ならない。そのお菓子の業界規模は、全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による「e-お菓子ねっと」が発表している年次レポートによれば、2013年時点で3兆1757億円(小売りベース)に達している。今回はこのレポートをベースに、複数面から日本のお菓子業界の現状を確認していくことにする。

まず直近5年間における主要区分別のお菓子の販売動向を記したのが次のグラフ。

↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2013年)
↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2013年)
↑ 菓子小売金額(2009-2013年、億円)
↑ 菓子小売金額(2009-2013年、億円)

昨今の高齢化を反映して、お年寄りに受けが良い米菓のシェア・売上高は伸びを示している。一方で意外にも和生菓子の伸び悩みが目立つ。また洋系の菓子ではチョコレートが堅調、スナックも順調だが、ビスケットやチューイングガムが厳しい。特にチューイングガムは元々小さめだったシェアがさらに一直線に縮小している。

意外といえばコンビニの独自ブランドによる積極展開で一見順調そうに見える洋生菓子も、下落の動きを継続中。もっともその分チョコレートが伸びていることから、消費者サイドとしては広い範囲における洋菓子の中で、洋生菓子からチョコレートへのシフトが起きているだけなのかもしれない。

各項目のすう勢が良くわかるように、直近3年分に限定した売上高前年比を算出した結果が次のグラフ。

↑ 菓子小売金額前年比(2011-2013年)
↑ 菓子小売金額前年比(2011-2013年)

スナック菓子や米菓、チョコレートは堅調、和生菓子やビスケット、せんべいは復調、飴菓子やチューイングガム、そして油菓子は後退の動きが加速中。特にチューイングガムは主要項目区分別ではもっとも下げ率が高く、さらにその幅を拡大しており、危機的な状態にある。

今世紀に入ってからの売上推移を見比べる

チョコや米菓の堅調さ、ガムの軟調さが目に留まるが(お菓子コーナーや新作動向を見るに、大体イメージと一致する)、その動きはいつごろからのものなのか、もう少し過去にさかのぼり、確認していくことにする。

2001年以降の各種類別売上高を逐次抽出し、21世紀のはじめの年として区切りが良い2001年の値を基準値100.0%と設定。2002年以降ではその基準値と比較してどれだけ増えたか減ったかの割合を示したのがを算出し、グラフ化したのが次の図。個々の大本の売れ行きに左右されず、種類別の動向が良くわかる。

↑ 種類別・お菓子の小売金額推移(2001年の額を100%とした時の推移)
↑ 種類別・お菓子の小売金額推移(2001年の額を100%とした時の推移)

「せんべい」は一様に下げ続けているが、類似品ともいえる「米菓」は年々順調な伸びを示している。シンプルな「せんべい」から、より変化の富んだ「米菓」へと趣向がシフトしている可能性が見えてくる。

事象の単純化と割り切り、プラス圏とマイナス圏で区分すると、「飴菓子」「チョコレート」「ビスケット」「米菓」「スナック菓子」「油菓子」はプラス圏、「チューイングガム」「せんべい」「洋生菓子」「洋和菓子」はマイナス圏での推移となる。2007年の景気後退開始以降、「ビスケット」「せんべい」「油菓子」のトレンドが下げに転じた雰囲気を見せ、「チョコレート」は逆にプラスに転じている。不景気には甘味、特に世代を超えて愛されるチョコレートが人気を呼ぶという俗説は間違いでもなさそうだ。

また、「せんべい」「チューイングガム」の下落傾向は深刻。特に「チューイングガム」は10年強の間に売り上げを3割近くほど落としてしまっている。消費性向の大規模な変化(高齢化もその一因)の中に巻き込まれた形といえる。昨今のガム業界ではしきりに大きなプロモーションを実施し、奇抜な発想の新商品が送り出されているが、その理由の一端がこのグラフに表れている。

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単価が安くて容易に心の安らぎを得られるお菓子類は、比較的不景気の影響を受けにくい。砂糖をはじめとする原材料の高騰の影響は避けられないが、それでも他の小売商品と比べれば、景気による売り上げ減は最小限のものに留まっている。むしろ売り上げを地道に伸ばす種類もある。

企業としては利益を得なければならず、売り上げだけで万事OKではない。しかしまずは売れなければ話にすらならず、売り上げを伸ばすのが成長には欠かせないのもまた事実。その観点から見れば、もちろん努力は重ねた結果であるとはいえ、「総額」の値がほぼ100%を維持しているお菓子業界は、比較的手堅い業界といえよう。

他方、チューイングガムのように、時代の移り変わりと共に危機的な状況を迎えている種類があるのも事実。お店に並ぶ多様な彩りのお菓子を眺めながら、個々の種類のすう勢を思い起こせば、今までとは違った感想を抱くこともできよう。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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