市場と対峙するのではなく市場と向き合うことも必要なのでは
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21日のニューヨーク時間の朝方に、ドル円は一時151円94銭まで上昇し、32年ぶり安値を更新した。
米10年債利回りが4.33%とほぼ15年ぶりの高水準をつけ、米5年債利回りが2007年以来初めて一時4.5%を上回るなど、米国債利回りの上昇を背景とした円安となっていた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、FRBが11月1~2日に開くFOMCで0.75%の追加利上げを実施し、12月会合で利上げペースを緩める可能性を巡りどのようにシグナルを発するべきかを討議する公算が大きいと報じた。
これを受けて市場では、FRBの利上げペースが鈍化するのではとの見方も出て、米10年債利回りは反転低下し、4.22%に低下した。
このタイミングで、大口の円買いドル売りが入った模様で(5.5兆円?)、ドル円は一時144円台まで下落した。
日経新聞は22日付の電子版で関係筋の話として、政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったと報じたが、日本の財務省はコメントを避けた。
しかし、ドル円はその後再び買い戻されて、24日の東京時間の朝方に149円台を付けてきた。
24日の東京時間の朝方に再び、大口の円買いドル売りが入ったとみられ、ドル円は145円台に低下した。しかし、その後、148円台後半に戻るなど乱高下となっている。
鈴木俊一財務相は24日午前、政府・日銀が21日に介入の事実を公表せずに円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったことについて「コメントしない」と述べた。財務省内で記者団の取材に応じた。「いま私どもは市場を通じて投機筋と厳しく対峙している。そういう状況を考えてコメントしない」と説明した(24日付日本経済新聞)。
どうして政府・日銀は市場を通じて投機筋と厳しく対峙する必要があるのか。市場変動が大きいからという理屈で介入を行うことで、むしろボラタイルな動きとなるなどしているのではないか。
そもそも、どうして円安ドル高となっているのか。その大きな要因として日銀の超緩和策がある。日銀はどうして長期金利を0.25%で抑えなければならないのか。
何のための為替介入なのか。そもそも何のための長期金利コントロールなのか。金利上昇を止めたり、円安を止めたりすることばかりに集中しているようにも思える。
いかにも市場が間違っているから政府・日銀が正す、みたいな動きにも見えるが、むしろ政府・日銀の間違いを市場が正そうとしているとの見方もできるのではなかろうか。英国の事例を見るまでもなく。