肉が増え魚が減ってる食生活
昨今の日本人の食生活においては、昔と比べると欧米化の傾向にあり、肉食が増えて魚を食べる量が減ったといわれている。その実情を厚生労働省が定期的に調査・発表している「国民健康・栄養調査」の結果から確認していく。
今調査データを基に、魚介類・肉類(それぞれ加工品を含む)、そして野菜類、加えて乳類(牛乳、加工乳、乳製品全般、粉乳類、クリーム類、乳酸菌飲料、チーズ類やアイスクリーム類など)の一日あたりの平均摂取量を示したのが次のグラフ。最新値となる2014年分、そしてそれからきっかり10年前の2004年分についてデータを併記する。
世間一般の話の通り、直近では魚介類は69.4グラム・肉類は89.1グラムと、肉類の方が魚介類よりも多い。また世代別では魚介類が60代までは歳と共に摂取量が増える一方、肉類は15~19歳の摂取量が最大で、あとは歳を重ねるに連れて減少していく。60代になると魚肉・肉類の関係が逆転し、魚介類の方が多く摂取している計算になる。両食品の特性、普段イメージされている好き嫌いがそのまま数字となって表れており、非常に興味深い。やはり歳をとると肉類は敬遠される傾向にあるようだ。
あるいは個々の世代の食生活の日常が、ある程度踏襲されている可能性も否定できない。つまり年齢階層による違いではなく、世代(西暦何年生まれなどの区分)による違いが多分に影響しているのでは、との考えである。それが事実ならば今後、シニア層でも少しずつ肉類の摂取量が増え、魚介類が減る可能性はある。
野菜類は1~6歳時点でこそ少なめなものの、それ以降は40代ぐらいまではほぼ同量、50代以降はむしろ増加していく傾向がある。健康志向の高まりを受けてのものだろう。そして乳類は1~6歳が多め、7~14歳で最大となり、以降は漸減、そして50代以降は再び増加していく。乳幼児は子供向けの粉ミルクなど、未成年では学校給食などにおける牛乳や健康のため保護者から与えられる事例が多いのが主要因だと考えられる。高齢になるに連れて増えるのも、健康志向によるものと考えれば道理は通る。
10年前の2004年当時の値も併記してあるが、それと直近となる2014年との比較をすると、「魚介類の摂取量が大きく減る」「肉類の摂取量が増える」「野菜類は全年齢階層で増加」「乳類は未成年層で大きく減少」などの動きが確認できる。「食文化の欧米化」との表現はあまりにも陳腐だが、肉食に傾きつつあることは間違いあるまい。
10年間の変化を算出した結果が次のグラフ。
どの世代でも肉類は増え、魚介類は減っている。他方変化率では若年層から中堅層の魚介類の摂取量減少率が大きく、肉類では高齢層の増加率が大きい結果が出ている(7~14歳は飛びぬけて肉類の増加率が大きいが)。肉類の動きはやや妙に思えるかもしれないが、10年間における重量の増加分に大きな違いは無いため、元々摂取量が少なかった高齢者ほど、比率面では大きな値が出る次第。また「個々の年齢による体質的変化に伴う魚介・肉類の好き嫌いに加え、それぞれの世代特有の食生活のスタイルが、そのまま一部は踏襲する形で影響を与える」への確からしさも、ある程度裏付けできる。
野菜類は量の限りではどの世代でも変化が無いように見えるが、変化率を見ると中堅層から高齢層にかけて、幾分大きめな減少が見受けられる。また乳類では分量同様、15~19歳の大規模な減少が一目でつかみ取れる結果が出ている。
ともあれ、健康的な食のバランスを保つためには、偏りなく、多彩な種類の食材を口にしたいものだ。
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