今の20代には「財布の中身は普段から年齢×1000円」は夢のおはなし
就業者、あるいは大学生などにおいて、不意の出費にも即時対応できるよう、財布の中には常に自分の年齢×1000円分の現金を納めておくべきとの話がある。現状でその公式は当てはまるのか。SMBCコンシューマーファイナンスが2015年12月に発表した、20代男女を対象にした調査「20代の金銭感覚についての意識調査2015」の結果から確認していく。
調査対象母集団に対し普段財布に入れている金額を尋ねたところ、ボリュームゾーンは3000円から1万円との形となった。全体平均では8386円との値が出ている。
1万円以下に8割以上が収まっている。普段万札が入っている人は少数派となる次第。「普段から年齢×1000円」は、少なくとも今の20代には通用しないのが実情ではある。
平均額の8000円強は、5000円札1枚と1000円札数枚、後は小銭が複数枚といったところ。あるいは1000円札と小銭を多めだろうか。もっとも昨今では電子マネーの普及浸透で小銭を極力少なくしたいとの考え方もあり、その分金額が減っている可能性もある。前年では調査項目に無いため比較はできないが、2015年分では7割近くが普段から電子マネーを利用すると回答している。
また前年の同様調査と比較すると400円強ほど金額が下がっている。この値動きに関して報告書側では、よそいきの財布=気になる異性と初デートをする時に安心できる所持金が前年1万9227円から今年では2万2551円と大幅に上昇していることを挙げ、「普段はなるべくお金を使わないように過ごし、初デートなどの大事なときには惜しまずにお金をかけるような、メリハリを効かせた消費スタイルが増えているのかもしれません」と説明している。電子マネーの普及に伴う小銭分の減少以外に、異性との交流に気合いを入れる人が増えたからとの解釈もできよう。
平均額や回答金額の分散状況を見て、「普段の所有額がそれほど少額で大丈夫なのか」と心配をする人も多いはず。「どこまで所持金が減ったら、手持ちが少なくて不安になるか」を聞いたが、もっとも多い回答率層は1000円台で29.1%。平均額は2402円となっている。
手持ちがゼロで初めて不安になる人も1割強居るが、あくまでも少数派。逆に2万円以上でも不安になる人もいる。ライフスタイルの違いにもよるが、大よそ財布に1000円札が2枚はあれば、不安は大よそ解消できるのだろう。つまり「年齢×1000円」を持っていれば、ほぼすべての人が不安から解消されることになる。先の「常に所有しておくべき金額」は、今や「不安解消のための目安」となったようだ。
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