関東甲信が梅雨入り 梅雨明けはいつ頃?
6月5日、関東甲信地方の梅雨入りの発表がありました。平年より3日早い梅雨入りです。今後しばらくは雨の季節となりますが、梅雨明けはいつ頃と考えれば良いのでしょうか?
エルニーニョで梅雨明けは遅くなる?
「今年は梅雨明けが遅い」と、一部で言われています。
今年はエルニーニョ現象が発生し、過去に発生した年は梅雨明けが遅れる傾向にあった、というのが一つの根拠のようです。
過去にエルニーニョ現象が発生した年の各地の梅雨明けを見ると、たしかに「遅い」年がやや多いものの、それでも50%前後。言い換えると、「梅雨明けが、平年並か早い」割合も50%ほどあります。
これで「今年は梅雨明けが遅くなる」と言い切るには、根拠が薄いと言わざるを得ません。エルニーニョだけで予測できるほど、天候は単純ではないわけです。
平年の梅雨明けは7月21日頃(関東甲信)
先々の天候は、スパコンでも計算されていますが、さすがに一か月半先の日々の天気がどうなるかの予測は、現在の技術水準を超えています。
「知りたい」という声に応えたいと予報する側としては皆思うことですが、無理な予測を伝えることは、逆に不誠実となってしまいます。
今の段階では、平年の梅雨明けが大体いつ頃か(関東甲信だと7/21頃)を知っておいて頂くだけで、十分に有益な情報になると思います。
「まだ分からない」も一つの答え
「梅雨明けは?」という取材に「まだ分からない」と答えると、まず記事には載りません。
「まだ分からない」という選択肢がなければ、無理にでも答えを探そう、出そうとなります。そして、予報とも呼べないような無理に出した情報が出回ることになります。
「まだ分からない」への不寛容は、回り回って、質の悪い情報を得るきっかけを作り出します。この個人ニュースなどは、そういった悪循環を断つ一つの場になっていくかもしれませんね。
ひとまず、梅雨明けに関して、現時点で言い切っている予報は、疑いの目で見るのが良いと思います。
■『梅雨入りは、なぜあとから見直されるのか』(2013年5月29日)