Yahoo!ニュース

関東甲信が梅雨入り 梅雨明けはいつ頃?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
5日午前10時半の気象衛星画像。南海上を東西にのびる梅雨前線。(気象庁HPより)

6月5日、関東甲信地方の梅雨入りの発表がありました。平年より3日早い梅雨入りです。今後しばらくは雨の季節となりますが、梅雨明けはいつ頃と考えれば良いのでしょうか?

エルニーニョで梅雨明けは遅くなる?

エルニーニョ現象発生時の梅雨明けの時期。08年までの30年間。(気象庁HPより)
エルニーニョ現象発生時の梅雨明けの時期。08年までの30年間。(気象庁HPより)

「今年は梅雨明けが遅い」と、一部で言われています。

今年はエルニーニョ現象が発生し、過去に発生した年は梅雨明けが遅れる傾向にあった、というのが一つの根拠のようです。

過去にエルニーニョ現象が発生した年の各地の梅雨明けを見ると、たしかに「遅い」年がやや多いものの、それでも50%前後。言い換えると、「梅雨明けが、平年並か早い」割合も50%ほどあります。

これで「今年は梅雨明けが遅くなる」と言い切るには、根拠が薄いと言わざるを得ません。エルニーニョだけで予測できるほど、天候は単純ではないわけです。

平年の梅雨明けは7月21日頃(関東甲信)

先々の天候は、スパコンでも計算されていますが、さすがに一か月半先の日々の天気がどうなるかの予測は、現在の技術水準を超えています。

「知りたい」という声に応えたいと予報する側としては皆思うことですが、無理な予測を伝えることは、逆に不誠実となってしまいます。

今の段階では、平年の梅雨明けが大体いつ頃か(関東甲信だと7/21頃)を知っておいて頂くだけで、十分に有益な情報になると思います。

「まだ分からない」も一つの答え

「梅雨明けは?」という取材に「まだ分からない」と答えると、まず記事には載りません。

「まだ分からない」という選択肢がなければ、無理にでも答えを探そう、出そうとなります。そして、予報とも呼べないような無理に出した情報が出回ることになります。

「まだ分からない」への不寛容は、回り回って、質の悪い情報を得るきっかけを作り出します。この個人ニュースなどは、そういった悪循環を断つ一つの場になっていくかもしれませんね。

ひとまず、梅雨明けに関して、現時点で言い切っている予報は、疑いの目で見るのが良いと思います。

■『梅雨入りは、なぜあとから見直されるのか』(2013年5月29日)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

増田雅昭の最近の記事