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【京都市北区】『源氏物語』にも登場する上賀茂神社の紫式部も参拝した摂社

くまライター(京都市)

上賀茂神社(賀茂別雷神社)は京都最古の歴史を持つ一社であり、「古都京都の文化財」の1つとしてユネスコの世界遺産に登録されている古社です。現在NHKで放送中の大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部『源氏物語』にも登場し、紫式部自身も参拝したといわれています。

『源氏物語』と上賀茂神社

上賀茂神社といえば「京都三大祭り」のひとつでもある「葵祭(賀茂祭)」が有名ですが、葵祭は『源氏物語』にも登場します。

上賀茂神社と葵祭が登場するのは、『源氏物語』全54帖のうち、序盤の第9帖「葵」です。

主人公・光源氏の正室である「葵の上」(あおいのうえ)は、葵祭の見物に訪れます。そこでやはり見物に来ていた源氏の愛人である「六条御息所」(ろくじょうのみやすどころ)と牛車の場所の取り合いになり、騒動に発展してしまいました。

この「車争い」によって六条御息所の牛車は壊されてしまい、強引に立ち退かされてしまいます。この屈辱により、六条御息所は葵の上を深く恨むようになりました。

やがて六条御息所は葵上への恨みをつのらせるあまり、生き霊となって葵の上にとりつきます。

身重だった葵の上は病になり、男子(のちの夕霧)を生んですぐに亡くなってしまいました。

源氏は葵の上を失った喪失感を埋めるため、のちに最愛の女性となる「紫の君」(むらさきのきみ)と半ば強引に婚姻を結びます。

このように、序盤の物語が大きく動き出す重要な場面の舞台として登場します。

紫式部と片岡社

上賀茂神社には、境内に24社の摂末社があります。そのうち第1摂社に定められているのが片山御子神社、通称「片岡社」です。

片岡社は上賀茂神社の祭神である賀茂別雷大神の母神である賀茂玉依姫命をまつっています。賀茂玉依姫命は古くから縁結び、子授け、安産の神様として女性から厚い信仰を受けてきました。

重要文化財の楼門
重要文化財の楼門

楼門と片岡社の間にあるこの橋は「片岡橋」といい、重要文化財です。
楼門と片岡社の間にあるこの橋は「片岡橋」といい、重要文化財です。

第1摂社だけあって、片岡社は楼門のすぐそばにあります。
第1摂社だけあって、片岡社は楼門のすぐそばにあります。

紫式部も片岡社に参拝し、恋の成就を願ったと伝えられています。

そのときに詠まれた

「ほととぎす 声まつほどは片岡の もりのしずくに たちやぬまれし」

という歌が新古今和歌集に収められています。

片岡社の縁結び絵馬にはこの歌にちなみ、紫式部とほととぎすがデザインされています。

この「ほととぎす」というのは紫式部が思いを寄せる男性のこと。「あなたが現れるまで、いつまでも待っている」という恋心を読んだ歌だと解釈されています。

『光る君へ』の主演で紫式部/まひろ役の吉高由里子さんと藤原道長役の柄本佑さんもドラマの放送にあわせて参拝されたそうです。

紫式部が思いを寄せる男性とは、いったい誰だったのでしょうか。『光る君へ』だと相手は柄本佑さん演じる藤原道長ですが、案外、紫式部の夫でありドラマでは佐々木蔵之介さんが演じる藤原宣孝だったかもしれません。想像すると興味がつきませんね。

上賀茂神社
住所/京都市北区上賀茂本山339
電話/075-781-0011
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ライター(京都市)

大阪生まれの大阪育ち、京都在住のライター・DTPデザイナー・イラストレーターです。京都の情報誌を経てフリーランスになりました。よろしゅうおたのもうします。

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