山口尚秀100m平泳ぎSB14で金、世界記録!東京2020出場権獲得 〜パラ水泳世界選手権〜
9月11日(水)ロンドン・アクアティクス・センターで開催中のIPC(国際パラリンピック委員会)主催 London 2019 World Para Swimming Allianz Championships(パラ水泳世界選手権)3日目、男子 100m平泳ぎSB14で山口尚秀(ジーアップ)が金メダル、1分4秒95の世界新記録を更新し、東京2020出場枠を獲得した。
日本にとって2個目のメダルとなる男子100m平泳ぎSB14は、共に泳いだ田中康大(気愛水泳塾)が、7年前まさにこのプールで世界記録での金メダルを日本にもたらしたロンドンパラリンピックの記憶が残る。その輝かしい想いを今日は18歳の山口が引き継いでくれた。
「障害があっても地道な努力があれば可能性が広がることを証明したかった。ひとかき、ワンストロークを大事にしました。仲間、スタッフの励ましや、この会場を準備してくれたスタッフの皆さんのおかげです。東京2020ではさらに上位を狙っていきたい」と話していた。
山口の金メダル獲得のニュースをミックスゾーンで知ったチームのキャプテンの鈴木孝幸(GOLDWIN)は「山口の金メダルは良かった。若いし、伸びていくと思う。出会った頃から早くて、背泳ぎやバタフライも可能性がある。キャラクターもよく、チームを和ませてくれる」と喜んだ。
峰村史世日本代表監督は、「良くやった。今出せる力を100パーセント以上出した。練習を一生懸命やる選手。ある程度想定していた。勢いも可能性もある。改善すべきところもあるこれから取り組んでいく」と山口についてコメントをくれた。
鈴木孝幸、木村敬一、キャプテン2人も結果をだす
男子150m個人メドレーSM4で鈴木孝幸が、男子 100m平泳ぎSB11で木村敬一(東京ガス)がそれぞれ銅メダルを獲得した。
鈴木は昨日の銀メダルに引き続き2個目のメダルは自己ベストだった。
「イタリアが思ったほど伸びてこず、(ライバルの)キャメロン・レズリーも出てないのでラッキーでした。だがこのままでは来年は厳しいので課題を見つけて取り組んでいきたい。背泳ぎを苦手としているので置いてかれるとわかっていたが、ターンの時相手が見えたのでいけるなと思った。最後の自由形でダッシュした」と話し残り3レースに向けて意欲を語っていた。
木村も50m自由形に続く今大会2レース目になり、予選・決勝とタイムを上げていったが、結果として100m平泳ぎはベストタイムとはならなかった。
「目標とした記録や順位にはならなかった。ベストをだす時は、これはベストを出すに違いないと泳いでいる。すごく疲れたので出し切れたとは思うが、何かがハマっていない。平泳ぎは難しい。山口選手の金メダルは嬉しい。彼の結果が自分を励まし、メダルを取らせてくれたと思う」と木村は話していた。
女子は100m自由形S13に出場した辻内彩野(三菱商事)が予選・決勝と自己ベストを更新したが惜しくも4位に終わった。
「前半から飛ばしたが、目標にしていた1分を切ることができず悔しい。客席から(先輩の)成田真由美さんと山口選手の世界記録を喜び、励みにした結果、前半28秒台で泳ぐことができた」と話していた。
山口の金メダル1個を含む日本代表チームのメダルは、大会3日目までに4個となった。のこりは4日間である。
後半戦に向けて個々の実力を発揮する良い流れが徐々にできつつあるようだ。
<DAY3・日本代表の結果>
男子 100m 平泳ぎ SB14
山口尚秀(ジーアップ)
・予選:1分05秒46 2位
・決勝:1分04秒951位WR
田中康大(気愛水泳塾)
・予選:1:10.22 9位(決勝進出なし)
女子100m 平泳ぎ SB14
芹沢美希香(宮前ドルフィン)
・予選:1分21秒46 7位
・決勝:1分21秒10 7位
男子150m個人メドレー SM4
鈴木孝幸(GOLDWIN)
・予選:2分45秒76 3位
・決勝:2分37秒29 3位
男子 100m平泳ぎSB11
木村敬一(東京ガス)
・予選:1分14秒99 3位
・決勝:1分12秒86 3位
女子100m自由形S13
辻内彩野(三菱商事)
・予選:1分00秒31 2位
・決勝:1分00秒29 4位
<参考>
・大会公式サイト(IPCスイミングLondon2019)
https://www.paralympic.org/london-2019
・日々のデイレポート(PARAPHOTO)
(取材・写真協力:パラフォト東京2020取材班)