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北朝鮮がミサイルを早朝ではなく、なぜ午後に発射した!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
北朝鮮が発射した準中距離弾道ミサイル「北極星2型」

北朝鮮のミサイルがまた、発射された。それも今回は珍しく朝ではなく、午後5時頃に発射されている。

北朝鮮のミサイルはこれまでは早朝に発射されていた。どれもこれも、「朝起きたら、ミサイルが発射されていた」という具合だ。

例えば、今年だけみても、昨日の準中距離弾道ミサイル「北極星2型」を含めて8回発射されているが、1回目の2月12日のミサイルは午前7時55分に、2回目の3月6日のミサイル4発は午前7時36分に、そして3回目の3月22日のミサイルは午前7時49分に、さらに4回目の4月5日のミサイルも午前6時42分に、5回目の4月16日のミサイルは午前6時21分に、6回目の4月29日のミサイルは午前5時半に、そして、前回7回目の5月14日の中長距離弾道ミサイル「火星12号」は午前5時28分に発射されている。

しかし、過去10年間のミサイル発射の時間帯を検証してみると、平均して年に1回は午後に発射されている。

北朝鮮が史上初の核実験に踏み切った2006年の年には7月5日に午前3時32分から午後5時22分にかけて江原道安寧郡・旗対嶺からミサイル7発を発射していた。午前5時の3発目がテポドン2号で、7発の中にはスッカド、ノドンのほか、旧ソ連の潜水艦発射ミサイルSSN-6改良型の新型中距離弾道ミサイルも2発含まれていた。

二度目の核実験が行われた2009年にも5月25日と29日に地対艦ミサイルと地対空ミサイルを発射しているが、いずれも午後5時、午後6時台に発射している。

また、三度目の核実験が行われた年の2013年にも3月4日に短距離ミサイルを7発発射しているが、これも午後4時台から5時台にかけて行われている。

さらに2014年には休戦協定の日の7月27日に黄海南道・長山串から500kmのスカッド1発が発射されているが、このスカッドはこれまで最も遅い時間帯の午後9時40分に発射されていた。

二年前の2015年の年は2月、4月、そして5月と艦隊艦ミサイルが発射されているが、いずれも午後5時20分、午後4時15分、そして午後4時25分に発射されていた。

昨年は4度目の核実験(2016年1月)後の4月に太平上の米軍基地であるグアムを標的にした「ムスダン」ミサイルの発射実験が行われ、4月15日、4月30日、5月31日、そして6月22日と計6発発射しているが、4月30日に発射された3発目は午後7時26分に発射されていた。

また、ミサイルが発射された地点、即ち発射場を検証すると、今年だけみても、2月12日のミサイルは平安北道・亀城、3月6日のミサイル4発は北西部の平安北道・東倉里、3月22日のミサイルは江原道・元山、4月5日のミサイルは咸鏡南道・新浦、4月16日のミサイルは咸鏡南道・新浦、4月29日のミサイルと昨日のミサイルは西部の平安南道・北倉から発射されている。

北朝鮮はミサイルについては「いつ、いかなる場所からも発射される」と公言しているが、有事の際にはミサイルは事前通告なく、奇襲的に発射される。午後の発射はそのことを立証してみせたことになる。

(参考資料:どこからでも発射可能! 北朝鮮ミサイル発射場の全貌

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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