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22年度税収は過去最高、決算剰余金は約2.6兆円、半分は国債償還、不用額分とともに国債の前倒し発行増

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 財務省が3日発表した2022年度の国の一般会計の税収は約71兆1373億円と過去最高を更新。2020年度から3年連続で過去最高となった。

 物価高の影響により消費税収が伸び、企業の好業績や賃上げによって法人税と所得税も増加した。

 消費税は23兆792億円と、3年連続で所得税収を上回り最大の税目となった。2022年度の消費者物価指数(総合)の伸び率は3.2%と約40年ぶりの水準となっており、個人消費の総額も2022年度は312兆円で、前度比5.5%増えた。

 大企業を中心に賃上げの動きが広がったことで、給与所得が増え、所得税収も22兆5216億円で5%伸びた。本来であれば、これだけの物価高であったことで利子所得も大きく伸びていたはずだが、こちらはなぜか日銀が抑え込んでいるので伸びていない。

 法人税収も好調で、10%増の14兆9397億円となった。新型コロナ禍からの経済回復で大企業を中心に業績が堅調となっていた。円安による影響も出ていた模様。

 一般会計の税収が71兆1374億円と過去最高を更新したことで、決算剰余金は2兆6294億円に達する見込みとなった。このうちの半分の1兆3000億円程度を防衛財源に回すそうである。

 決算剰余金は財政法で半分は国債の償還に充てると定められている。防衛財源に回せるのは残りの半分となる。

 使用しなくなった不用額は11兆3084億円とこちらも過去最大となった。2021年度の6兆3028億円から大幅に増えた。余った金額が大きく12兆円分の赤字国債の発行をやめる(4日付日本経済新聞)。

 ただし、今年度のカレンダーベースの国債発行予定額の変更はなく、赤字国債の発行を止めた分などは、借換債の前倒し発行というかたちとすることで、今後の補正予算編成時や来年度予算における年度間調整分に使われるとみられる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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