【北海道地震】日本語がわからない外国人等とのコミュニケーションに使える無料多言語支援ツール集
訪日外国人観光客や日本語がわからない生活者への配慮を
大きな被害を出した台風21号に続き、9月6日午前3時すぎ北海道で震度6強の地震が発生しました。いずれも外国人観光客や定住外国人が多い地域が含まれています。
災害時、日本語のわからない外国人や海外にルーツを持つ方々は情報弱者となりやすく、適切な防災、減災、避難行動がとれない場合が少なくありません。災害が発生するたびに外国人観光客などが、日本語がわからずどうしたら良いかわからなくて不安だった、避難が遅れたなどの報道がなされています。
一方、被災地や被災地支援を行う日本人(日本語がわかる人)にとっても、日本語がわからない方々に対してどのように情報提供や支援をすればよいのか、いざとなるとそれどころではなかったということも多いのではないでしょうか。
日本に長く暮らしている海外ルーツの方々にとっても、災害時の日本語は日常会話とは異なる言葉や表現が多用されるため、理解することができない、難しく感じたということが少なくありません。
この記事では、現在被災された地域におられる方々やこれから支援に入られる方々、被災地自治体や関連諸機関の方々が言葉の壁を取り除き、日本語がわからない外国人などのサポートに役立つ無料の多言語防災ツールを紹介します。積極的な活用で、言葉がわからずに不安を抱える方々との間の壁を取り除いてほしい。
* 気象庁 緊急地震速報・津波警報の多言語辞書
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tagengo/tagengo.html
気象庁が作成した情報配信事業者が多言語情報を提供するために必要な翻訳表現集です。「緊急地震速報」「強い地震が発生しました」「つり革、手すりにしっかりつかまる」など第一報を多言語で伝える際に活用できます。
(英語、中国語(繁/簡)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、やさしい日本語の7言語)
* 避難所などで活用できる多言語表示シートやピクトグラム
一般財団法人自治体国際化協会は、災害発生時に避難所などで活用できる多言語情報シート作成ツールを無料公開しています。
「避難場所は住所・性別・国籍・在留資格など関係なくどなたでもサービスを受けられます」と言った表現から「立ち入り禁止」「救護所」などのことばがやさしい日本語、英語、ロシア語、中国語、ベトナム語など最大14言語で作成できます。
* NHK World
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/
NHK Worldでは、18言語でニュースを配信し、関連情報動画を見ることができます。
(アラビア語、英語、日本語、ロシア語、ウルドゥー語、ベンガル語、フランス語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ベトナム語、ミャンマー語、ヒンディー語、ペルシャ語、スワヒリ語、中国語(簡)、インドネシア語、ポルトガル語、タイ語)
* 日本政府観光局 Safety tips for travelers
https://www.jnto.go.jp/safety-tips/eng/index.html
英語、韓国・朝鮮語、中国語(繁)、中国語(簡)の4言語で災害発生時の避難行動や多言語情報へのリンク、多言語コミュニケーションカードなどが利用できます。アプリ版もあり、こちらでは緊急地震速報などの通知機能も。
* 支援用指さしシート
https://20th.yubisashi.com/support_yubisashi/
「旅の指さし会話帳」を発行している株式会社情報センター出版局は 「災害時の支援用の指さしシート」を無料配布しています。シートを見ながら、該当するイラストと翻訳文を指さしながら日本語がわからない方々に情報提供できるシートで、ホームページから無料ダウンロードが可能です。印刷またはスマートフォンで表示しながら使うことができます。
(中国語(繁・簡)、韓国語、英語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピン語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語)
翻訳されていない言語を話す方や、日本語が少しわかる方とのコミュニケーション手段は
上記でご紹介した他にも多数の多言語翻訳資料や支援ツールがインターネット上で無料公開されていますが、中には翻訳されているどの言葉もわからない、翻訳されている以外のことを伝えたい、と言った状況も数多くあると思います。
こうした状況の場合は、「やさしい日本語」+「イラストや画像」や機会翻訳活用でコミュニケーションを。もちろん、ジェスチャーも。細かい内容が伝えられなくても、「今(いつ)、何をすべきか(あるいはしないべきか)」など、重要な点だけでも伝われば安心と安全を確保しやすくなります。
1)基本は「やさしい日本語」
「やさしい日本語」とは日本語が少しわかる、という方に伝わりやすい日本語のことです。たとえば「避難」を「逃げてください(逃げます、お願いします)」、などのように日常的に使う日本語のことばを使って、短く、簡潔に伝えることです。
詳しくは弘前大学人文学部社会言語学研究室「やさしい日本語マニュアル」
http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/EJ1a.htm などを参照してください。
2)イラストや画像などを活用する
伝えたい内容に関連するイラストや画像などをスマートフォンなどで表示しながら、指をさしながら「やさしい日本語」で話します。これだけで情報量が増え、理解が得られやすくなります。
3)機械翻訳を活用する
Google翻訳など、近年比較的機械翻訳の精度は高まっています。単語レベルあるいは「やさしい日本語」レベルの文章であれば、一時的な情報を伝えるために役立ちます。
この他に地域ごとの避難所情報などは国際交流協会などが多言語で発信している(あるいはこれから発信する)場合がありますので、協会ホームページやFacebookページなどに注目しておくと良いでしょう。
多言語ツールの活用で心の壁も取り除いて
以前起きた災害時には、日本語があまりよくわからないために避難所で迷惑をかけることを恐れ避難しなかった、という外国人の方や、駅で日本語がわからず身動きが取れなかったという方の声が新聞やテレビなどで報じられていました。
「言葉がわからないから・・・」としり込みすることなく、困っていそう、不安そうな外国人や海外ルーツの方々を見かけたら、こうした多言語ツールを最大限活用しながら積極的にコミュニケーションを取っていただきたいと思います。また、今後被災地に支援に入られるみなさんにはぜひ、被災地の外国人や海外ルーツの方々のことも念頭においていただき、翻訳シートをあらかじめ印刷し、持参するなどのサポートもお願いいたします。
*以下は追加として記事公開後に掲載した情報です。
北海道庁総合政策部国際局国際課による外国人向け多言語相談窓口(9月6日14時13分に追加)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tsk/index.htm
地震、大規模停電に関連して外国人向けの相談窓口が開設されました。
・電話番号:011-204-5937、011-204-5092
・対応言語:英語、中国語(北京語)、韓国語 平日8:45~17:30
NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会(9月6日15時53分に追加)
「外国語での支援情報まとめ」
外国人相談電話窓口や札幌国際プラザが発信する多言語情報へのリンク、多言語コールセンターを運営する企業による緊急災害電話通訳についてなどの情報がまとめられています。