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高齢者、障がい者、外国人…賃貸住宅のオーナーの入居受け入れに対する拒否感実情(2023年発表版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
ハイリスク想定な入居希望者に賃貸住宅のオーナーが抱く感情は(写真:イメージマート)

賃貸住宅のオーナーの立場からすれば、賃料を満額、何の心配も無く受け取りたいもの。失踪してしまったり、事件性のある無しを問わずに住宅内で死亡しているのが発見されたり、仲間を呼んで大騒ぎしたりまた貸しをしてトラブルが生じるなど、貸し手としては頭を抱えるようなリスクは避けたいのが人の常である。そのリスクが高いとの認識がある属性の人達への入居について、賃貸住宅のオーナーはどのような感情を抱いているのだろうか。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」の調査「賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)」(※)から、その実情を確認する。

次に示すのは、対象項目の属性を持つ入居希望者に対し、賃貸住宅のオーナーは拒否感を抱いているか否かを答えてもらい、その回答をまとめたもの。「拒否感無し」「以前拒否感あり・今は無し」「拒否感あり・以前より弱し」「以前と変わらず拒否感強し」「以前より拒否感強し」のいずれかから選んでもらっている。また「拒否感無し」「以前拒否感あり・今は無し」を合わせて拒否感無し派と呼ぶことにする。

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(全国、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(全国、前年度比)(2022年度)

高齢者に対しては7割強が拒否感無し派、障がい者もほぼ同値だが、高齢者は大きな拒否感が無くなる動きが生じていたことが分かる。他方、外国人に対しては拒否感無し派は3割足らずにとどまり、残りは強弱は別としても拒否感をいだいていることになる。

これを地域別に見たのが次のグラフ。

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏、前年度比)(2022年度)

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(関西圏、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(関西圏、前年度比)(2022年度)

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏・関西圏以外、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(首都圏・関西圏以外、前年度比)(2022年度)

首都圏ではオーナーの寛容さがよく表れている結果が出ている。高齢者への拒否感無し派は8割を超え、障がい者へもほぼ同値で、しかもほとんどすべてが「拒否感無し」となっている。外国人に対してのみ、全国平均とさほど変わらない値。

他方関西では拒否感無し派の値が非常に低く、高齢者では1割にも満たず、障がい者でも3割に届かない。外国人では2割足らず。さらに中身を見ると、昔は拒否感があったが今では無くなっているという「以前拒否感あり・今は無し」がほとんど数字に表れておらず、拒否感の変化があまり生じていない実情がうかがえる。

首都圏・関西圏以外では高齢者と外国人に関しては関西圏より拒否感無し派が多いものの、障がい者ではむしろ少なくなってしまっている。さらに「以前と変わらず拒否感強し」の値はすべてで関西圏より多い。

これらの動向を分かりやすくするため、「拒否感無し」にはマイナス2、「以前拒否感あり・今は無し」にはマイナス1、「拒否感あり・以前より弱し」にはプラス0.5、「以前と変わらず拒否感強し」にはプラス1、「以前より拒否感強し」にはプラス2のウエイトをかけて、DI値を計算したのが次のグラフ。この値が高いほど、拒否感が強いことになる。

↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(DI値、前年度比)(2022年度)
↑ 賃貸住宅管理会社におけるオーナーの入居受け入れに対する拒否感の変化(DI値、前年度比)(2022年度)

高齢者への拒否感は関西圏のみプラスとなり、関西圏で高齢者への拒否感が極めて強い実情がうかがえる。一方、障がい者へは関西圏の拒否感は強いものの、それ以上に首都圏・関西圏以外での拒否感の方が強い実情が確認できる。さらに外国人に対しては、高齢者や障がい者よりも拒否感は強く、首都圏ですらもプラスの範ちゅうにあるのが分かる。

これらの動向に関して短観では、例えば高齢者については「貸主の不安を払拭する「孤独死保険」や「死後事務委任契約」などの高齢者入居をバックアップする支援策や、生活支援のための医療や安否確認などの公共サービスなどの充実によって拒否感は下がるものと考えられる。家賃債務保証の高齢者対応などでエリアによる温度差が感じられるが、各エリアがかかえる課題を把握したうえで超高齢化社会の進展に対応すべく取り組みを強化する必要を感じる」とし、今後の動向を見極めた上で判断すべきであると説明している。

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※賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)

2023年7~8月にインターネットを用いて日本賃貸住宅管理協会会員に対して行われたもので、有効回答数は541社(回収率29.7%)。2022年4月から2023年3月に関する状況について回答してもらっている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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