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トップはサウジと思いきや!? 主要国の原油確認埋蔵量をチェック(2014年)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 先のスコットランド独立問題でも海底油田の権利に焦点が集まったが……

多種多様なエネルギー源が開発、利用される現在でも、原油(石油)が現代社会を支える重要なエネルギー源であることに変わりはない。ではその原油はどの国にどれほど存在しているのだろうか。国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」を基に、その実態を確認していく。

まず用語の解説だが、「1バレル」とは石油・原油の量を測る単位。樽(たる)が語源で42ガロン、158.987294928リットル。約160リットル。そして「確認埋蔵量」とは、現在の技術で経済的に採掘できる量。科学技術が進歩し、より深い部分まで採算レベルで採取できるようになれば、これまで以上に「確認埋蔵量」が増える可能性もある。そして採掘していくうちに、そして計測ミスや再検証の結果、減ることもある。「地球上の石油はあと●×年で掘りつくされる」といった話で、何年経っても大きく年数が動かないのは、技術革新や新油田の発見で、消費されるだけでなく「確認埋蔵量」が増えていくからに他ならない。

また「石油」はいわゆる採掘直後の「油」を指す場合もあるし、採掘した油からガスや水分、その他異物を大まかに取り除いた、精製前のものを指す場合もある(こちらはむしろ「原油(Crude oil)」と呼ぶ場合が多い)。今回対象となるのは基本的に後者の「原油(Crude oil)」。

まずは、直近2013年とその10年前、2003年における原油確認埋蔵量の動向を確認する。2013年における上位国に絞って掲載を行う。

↑ 原油確認埋蔵量(億バレル)(2003年、2013年)
↑ 原油確認埋蔵量(億バレル)(2003年、2013年)

まず驚かされるのは南アメリカ北部にある国、ベネズエラの量の多さ。この10年間で4倍近くに増え、サウジアラビアを追い抜く形となった。これは同国の開発技術が進み、採掘が可能とされる原油の量が飛躍的に増加したのが原因。一方で同国の原油確認埋蔵量には多くの「重質油」「超重質油」が加算されている。これらを抽出するには技術的困難を伴うだけでなく、費用もかかることが指摘されている。

他方、ベネズエラほどではないが、イランやイラクなどでも原油確認埋蔵量の大幅な増加が認められる。これらの国の国際発言力や自信の高まり(特にイラン)も、理解できる。

次に示すのは、原油確認埋蔵量の世界全体値に対するシェア。世界中の抽出可能な原油全体量のうち、何%がそれぞれの国に埋蔵されているかを示すもの。

↑ 原油確認埋蔵量(世界全体値に対するシェア比)(2003年、2013年)
↑ 原油確認埋蔵量(世界全体値に対するシェア比)(2003年、2013年)

ベネズエラ、さらには値そのものは小さいがカザフスタンがこの10年間で大きくシェアを拡大している。一方で世界全体の採掘量の増加により、サウジアラビアやカナダ、クウェート、UAEなどのメジャーどころは軒並みシェアを落としている。

実際には原油の品質、輸送設備、安定性、そして抽出量(生産量)なども影響するため、単に原油確認埋蔵量の変化だけで石油市場動向が変動を起こすわけではない。しかし、パワーバランスの変化が生じるのも事実。大きな変化が見られた国における、外交的な動向を思い返してみると、色々と合致する部分もあるのが興味深い。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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