アメリカ合衆国では自宅にインターネット接続できるパソコンが無い子供は12%
今では日常生活において欠かせない存在となったインターネット。本格的な調べものをする時や情報の精査の上では、スマートフォンよりもパソコンの方が使いやすいことは否定できない。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerによる調査報告書「Nearly one-in-five teens can’t always finish their homework because of the digital divide」(※)を基に、同国の子供達におけるインターネット接続やパソコンの利用環境の実情を確認する。
自宅も含めてパソコンやインターネットへの接続環境が満足に得られず、調べごとが思うようにできないため、宿題を終わらせることに難儀している子供が少なからずいる。そしてそれは世帯年収が低い子供ほど多い傾向がある。
それでは子供達の自宅におけるインターネット環境はどのような実情なのだろうか。まずは自宅にインターネット接続ができるパソコンが無い子供の実情。
全体では12%の子供が、自宅にはインターネット接続ができるパソコンが無いと回答している。見方を変えると88%があることになる。ただしパソコンが旧式だったり、インターネットの接続速度が低速の可能性もある。それでもパソコンでインターネットが接続可能なのには違いない。
人種別ではヒスパニックがやや高めで18%、世帯年収別では明確な形で低年収の方が高率を計上している。3万ドル未満では実に1/4の子供が自宅にインターネット接続可能なパソコンが無い状態。無論、パソコンが無くてもスマートフォンなどを使う、公共の接続環境を借りるなどをすればインターネットへの接続は可能だが、自宅にパソコンがある人と比べると、利用時のハードルが高いことに違いは無い。
現状では事実上インターネットへの接続はブロードバンドで無いと使い物にならないことから、ブロードバンド環境が使えるか否かの点で、もう少し詳しく見ていくことにする。次以降に示すのは報告書の説明によると、アメリカ合衆国のミネソタ大学人口研究所による多角的データベースIPUMS(Integrated Public Use Microdata Series)を一次データとしているもの。6~17歳の子供がいる世帯のうち、ブロードバンド環境が自宅に無い世帯の割合を記したもので、全体では15%となっている。
世帯主の人種別では白人が低く、黒人とヒスパニックが高い。アジア系は意外にも今区分ではもっとも低い値。ただし今件が人種間の傾向というよりは、人種に連なる世帯年収に連動する影響が大きいことが今調査の報告書には記されている。
しかしながら厳密に、世帯年収だけに限った話でも無いことは、次のグラフから見て取れる。
同じ世帯主人種間ならば明確に低年収の方がブロードバンド環境を持つ世帯比率が低いことが明らかにされているが、同時に同じ年収区分でも人種によって誤差を超えた差異が生じていることが分かる。全体値同様、アジア系はとても低く、白人は中庸、そして黒人とヒスパニックは高め。世帯年収が7.5万ドル以上の世帯でも、アジア系は2%、白人は4%しかないにもかかわらず、黒人・ヒスパニックは9%の世帯が該当することになる。
この人種間の際について報告書では特に解説は無い。代わりに、子供におけるデジタル技術の環境の差異が、そのまま学力の差異につながる可能性を示唆している。実際に、自宅にパソコンへアクセスできる環境を持つ子供の方が、そうで無い子供と比べ、高校を卒業できる可能性が高いとの調査結果もあるとのこと。色々と考えさせられる結果ではあり、日本の実情も思い返される次第ではある。
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※Nearly one-in-five teens can’t always finish their homework because of the digital divide
2018年3月7日から4月10日にかけてアメリカ合衆国に住む13~17歳の子供に対して電話による通話とオンラインによって行われたもので、有効回答数は743人。白人は355人・黒人は129人・ヒスパニックは202人(合計が743人にならないが、報告書ではアジア系は回答数が少ないため人種別精査時には除外したとの説明がある)。世帯年収比率は3万ドル未満が199人・3万~7.5万ドル未満が266人・7.5万ドル以上が278人。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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