検事の自殺、原因は過酷な超勤か上司の理不尽な叱責か?国賠訴訟で真相解明へ #専門家のまとめ
2019年に29歳だった広島地検公判部の男性検事が自宅で自殺しました。任官数年の若手でしたが、超過勤務が月100時間を超えるなど多忙を極め、法務省も昨年9月に公務災害に認定したほどです。問題は自殺の原因が単なる過酷な超勤ではなく、上司だった次席検事による理不尽な叱責にあったのではないかという点です。遺族が約1億7千万円の損害賠償を求めてことし9月に国賠訴訟を提起しており、今後の推移が注目されます。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
2011年に最高検が出向者を除く全ての検事を対象とした無記名の意識調査を行いましたが、実にその約26%が上司から実際の供述とは異なる特定の方向での調書作成を指示されたことがあると回答しています。
自由記入欄に「幹部や決裁官の中には、その立場にふさわしくない人がおり、人事評価や人事配置に疑問を持っている」「幹部の中には、苦労を十分に把握しないまま、頭ごなしの物言いをする者がいる」などと書いた検事もいたほどです。
このほか、不正行為を内部通報したり、パワハラ・セクハラの被害を直訴したりすると、人事上の不利益を被る可能性があると感じる割合が若手検事を中心に高いことや、都市部か地方かを問わず、裁判員裁判の準備などに追われ、深夜勤務や休日勤務を繰り返している実態も明らかになりました。
検察改革の参考にするための意識調査でしたが、その後も検察を取り巻く環境は大きく変わっていないように思われます。(了)