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松山英樹、金谷拓実、中島啓太。世界で花開く日本人男子最強時代の幕開けだ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今年4月に開催されるマスターズのオナラリー(名誉)・スターターにトム・ワトソンが新たに加わることが今月11日(米国時間)に発表され、米ゴルフ界では大きな話題になった。

そして、その話題は「今後のオナラリー・スターター予想」へと発展しつつあり、そんなマスターズと米ゴルフ界、いや世界のゴルフ界の未来を語るとき、そこに日本人選手の名前が3人も登場していることに、新時代の幕開けを感じずにはいられない。

【松山英樹はオナラリー・スターター候補!?】

マスターズの「始球式」に当たるオナラリー・スターターの伝統が始まったのは1963年のこと。それから昨年の2021年大会に至るまで、バイロン・ネルソンやサム・スニード、近年ではアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤー、そしてリー・エルダーまで合計10名がオナラリー・スターターを務めた。

昨秋、エルダーが亡くなったことで、今年のマスターズでは、これまでのニクラス、プレーヤーに新たにワトソンが第11代オナラリー・スターターとして加わることになったのだが、米ゴルフ界では、今後、新たなオナラリー・スターター候補になりうるのは誰かが、すでに話題になっている。

さっそく米メディアは候補となる選手を挙げ始め、候補の筆頭に挙がったのは、米国人選手のベン・クレンショーだった。

クレンショーはマスターズ2勝(1984、1995)の実績を誇っているが、もう1つ、特筆されるのは、アマチュア時代にマスターズ出場を果たしてローアマに輝き、その上でマスターズ・チャンピオンに輝いたという歩みだ。

ローアマからマスターズ・チャンピオンへという道を歩んだのは、ニクラスやフィル・ミケルソン、タイガー・ウッズなど、クレンショーを含めて史上7人しかいない。そして、最も最近、その道を歩んだのが、そう、日本の松山英樹だ。

その意味で、米メディアの未来のオナラリー・スターター予想の中に「ヒデキ・マツヤマ」の文字が光っている。もちろん、クレンショーとマツヤマの間には、ニック・ファルドやフレッド・カプルス、ミケルソン、ウッズ、バッバ・ワトソンやジョーダン・スピースらも挙げられており、「オナラリー・スターターになるためには、マスターズで複数回優勝することが望ましい」という記述もある。

だが、マスターズのオナラリー・スターターの未来を語るその場所に、日本人選手の名前が登場していること自体、かつてなら想像すらしなかったことであり、松山のマスターズ優勝が、ゴルフ史上、いかにビッグな出来事であったかを、あらためて知らされた気がしている。

【3人の日本人男子にフォーカス】

その松山は、今週、米ツアーのソニー・オープンに出場するが、試合会場となるハワイのワイアラエCCには、金谷拓実やアマチュアの中島啓太の姿もある。そして、その3人の日本人男子選手がそこに揃っていることが、これまた米ゴルフ界で話題になっている。

松山は言わずと知れた昨年のマスターズ覇者だが、彼の世界デビューの始まりは2010年にアジア・アマチュア選手権(現・アジア・パシフィック・アマチュア選手権)で優勝し、翌年のマスターズに出場してローアマに輝いたことだった。

そして、金谷も2018年にアジア・パシフィック・アマチュア選手権で優勝し、翌年のマスターズに出た。中島も昨年のアジア・パシフィック・アマチュア選手権で優勝し、今年のマスターズに出る。

3人とも、その歩み方は、酷似している。

さらに言えば、金谷は元アマチュア世界一、中島は現アマチュア世界一で、だからどちらも栄えあるマーク・マコーマック・メダルを受賞した。

そして中島は、ウッズの長年のマネージャーを務めたマーク・スタインバーグ氏らが率いる米国大手のエクセルスポーツマネージメント社と契約を結んだことが報じられたばかりだ。

同社の契約選手リストにはジャスティン・トーマスやコリン・モリカワといった最近の米国のヤング・エリート・ゴルファーが名を連ねている。

まだアマチュアで、プロとしての活躍は未知数でありながら、そして米国人以外の外国人でありながら、この段階で米国の大手マネジメント会社から契約をオファーされ、締結したことは異例中の異例であり、そこに中島への期待の高さが明らかに見て取れる。

米国、いや世界のゴルフ界において、日本人選手が3人も同時に、これほど大きくフォーカスされ、これほど大きな期待を抱かれたことは、いまだかつて一度もなかった。

日本で育った日本人男子たちが、今、世界で次々に花開こうとしている。それは、日本人男子ゴルファー最強時代の幕開けと呼んでいいのではないだろうか。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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