家庭で一番人気の鍋料理とは?
家庭で食べる鍋料理はすき焼きが一番人気
寒さが厳しくなると、食卓に並ぶと嬉しい料理の代表格として挙げられるのが鍋料理。多種多様な食材を最初から最後までアツアツな状態のまま食することができる、まさにこの時期のために生まれてきたような存在の料理。また家庭で食べる場合、食卓を囲んで家族団らんで楽しめるのもポイントが高い。
そこで数ある鍋料理の中で、家庭ではどの鍋が一番好かれているのかを聞いた結果が次のグラフ。これはパルシステム生活協同組合連合会が2013年11月に発表した、既婚女性を対象に行った調査結果によるもので、必然的に家庭における鍋料理の好感度を表すことになる。
一番人気は「すき焼き」。選択肢の中で唯一過半数となる、53.6%もの支持率を集める形となった。次いで多いのは「寄せ鍋」、そして「水炊き鍋」「しゃぶしゃぶ」「キムチ鍋」がほぼ横並びで続き、やや値を下げて「ちゃんこ鍋」、さらに少ない回答率となるが「もつ鍋」が続く。
この数年でメディアに名前を連ねるようになった、和洋折衷的な「カレー鍋」「トマト鍋」などの姿も見えるが、それほどの人気は無い。オシャレな場面、居酒屋などの外食メニューではこれらの鍋もアリかもしれないが、少なくとも家族団らんの場での鍋としては、あまり好かれていないようだ。
上位陣の鍋たちは、いずれも冬にその本領を発揮するメニュー。そしてそれに加えて、普段と比べてちょっとした豪華さ、リッチ感を堪能できるものが揃っている(毎晩すき焼きやしゃぶしゃぶを食する世帯もおるまい)。特に「すき焼き」は昔も今も変わらず、「ごちそう」の代表的な鍋に違いない。人気が出るのも当然といえよう。
地域で違いが出る鍋の好み
好きな鍋料理のうちいくつか地域性が出やすいものについて、回答者の居住エリア別に集計し直した結果が次のグラフ。
「水炊き鍋」は東日本ではさほど人気が無いが、西日本、特に中国・四国・九州・沖縄地域での人気の高さが目立つ。とりわけ中国・四国では58.2%と過半数を超え、全国集計でのトップ「すき焼き」をも超える値を示している。数年前に大ヒットとなった「もつ鍋」は北陸・甲信越と九州・沖縄で人気があり、中でも九州・沖縄では40.0%との高評価。
「カニ鍋」も「水炊き鍋」同様に西高東低の傾向がある。中でも近畿地方は21.6%と他地域から群を抜いた傾向が見受けられる。
このような動きはそれぞれの地域の鍋に関する歴史や食材の知名度、流通度、人気度などが影響していると考えれば道理は通る。概して自分の住んでいる地域の鍋事情こそが常識と考えてしまうため、他地域の状況を知ると、あらためて驚くばかりである(これは鍋料理に限った話ではないが)。
「驚くばかり」といえば、今件調査のトップ「すき焼き」においても、関東と関西では大きな違いが見られる。関東では割り下を入れて「煮る」、関西では鍋で焼くのが主なスタイル。言葉から直結する意味合いとしては関西風の方が「すき焼き」に近く、関東風はかつては「牛鍋」とも呼ばれていた。しかし今では双方とも「すき焼き」と呼ばれている、などの相違点がある。
食文化は日常生活に深く浸透しているからこそ、特異性があったとしても普段は気が付かないもの。しかし他の環境との比較をすると、驚くべきことも多い。興味があれば上位陣の鍋それぞれの、その由来や地域性について調べてみると面白いかもしれない。
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