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信頼感が急降下中の新聞、その理由は!?

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 読んでいるこの新聞記事の中身、ホントかな…と疑いを持つ人も

全体として信頼感が増したメディアは皆無

本来正しい情報を伝える媒体としてのメディアへの信頼度は、海外同様日本でも漸減している。特に減退ぶりの著しさが指摘される新聞に関して、その「なぜ」を、財団法人新聞通信調査会が発表したメディアに関する全国世論調査の2015年度版から確認していく。

次に示すのは回答時に至る1年間で、各メディアに対して信頼感は変化したのか否かを聞いた結果。前々年2013年度、そして前年2014年度に同様の問いをした結果も併記してある。

↑ 各メディアへの信頼感は変化したか(前年度と比べて)
↑ 各メディアへの信頼感は変化したか(前年度と比べて)

信頼感の上下度合は回答者それぞれで一概には言えないが、大よそ「上昇」が「下落」より多ければ信頼度は増加し、逆なら減少と見ることができる。その観点で結果をチェックすると、全メディアで信頼度は減少している。

メディア毎の動向を見ると、特に新聞、民放テレビ、雑誌で、「下落」が「上昇」を大きく上回る結果が出ている。信頼感が損なわれた、失望した人が多かった次第。特に雑誌は「上昇」が0.8%しかいないのに対し、「下落」が14.7%との結果が出ており、権威が大きく失われているようだ。

新聞の下落は前年度ほどではないが、高い値が維持されている。これは前年2014年度の大幅下落の原因となった、朝日新聞における誤報・捏造・誤報に対する再精査への意図的な無作為による放置の数々が取りざたされたこと、そしてその姿勢が今なお継続しているように見える現状が、小さからぬ影響を及ぼしているものと考えられる。一度明確な形で失われた信頼は、すぐには回復しない実情が表れているのかもしれない。

新聞の信頼感、なぜ増えた・減った!?

直近の2015年度では新聞の信頼感が増した人は4.1%、下落した人は7.9%との結果が出ているのは上記の通り。それぞれの回答者に、なぜそのような選択をした・思ったのかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ 新聞の信頼感が高くなった理由(該当回答者)
↑ 新聞の信頼感が高くなった理由(該当回答者)
↑ 新聞の信頼感が低くなった理由(該当回答者)
↑ 新聞の信頼感が低くなった理由(該当回答者)

新聞をより信頼するようになった人の理由だが、情報の正確性や公正・中立さへの評価、根拠に基づく情報を報道したことが主なものとなっている。ドラマや映画で新聞社に勤める主人公が語りそうな「政府や財界に迎合しない」との意見は5.4%でしかない。

前年度との比較では、公正・中立の立場での報道や、モラル、政府などへの迎合に関する評価が増え、情報の正確さ、根拠に基づく情報の報道の観点で減少している。イメージ的な観点での信頼感の積み上げが成されたようだが、一方で報道の存在意義の根底となる情報の正確さ・根拠ある情報の観点による評価が落ちているのは、ゆゆしき問題と認識すべきだろう。

また「何となく」が減少傾向にあるのも印象的。これは雰囲気的なもので新聞を評価する人が減っていることを意味し、中身を見極めて高評価に値すると判断する人が増えているとも考えられる。

他方信頼が損なわれたと感じる人のトップ意見は「誤報があった」で29.9%。ダイナミックなまでに増加した前年度からさらに増加している。前年度の増加は前述の通り朝日新聞の複数事案が大きく影響したものと考えられるが、その事案で傷ついた新聞全体の権威はまだ回復しておらず、むしろさらに状況は悪化していることになる。もちろん朝日新聞だけに留まる話では無く、またこれまで見過ごされてきたレベルの誤報に気が付くようになったケースも多分にあるのだろう。

特定の勢力に偏った報道をしているからとの意見も多く、1/4に届いている。今件は択一回答のため、誤報選択肢に大きく数字を吸い取られた形となったが、モラル低下や政府・財界の主張通りのみとの意見も少なくない。

新聞は主要メディアの中ではNHKテレビに次いで高い信頼度を有している。その高貴たる立ち位置は現状においては、多分にこれまでの先人諸氏の努力によって構築された「信頼」という名前の資産を食いつぶして、ようやく維持していると表現できる。その現状を認識し、行動を律する事ができなければ、「信頼感は下落した」との回答者率は、来年度以降も高い値を維持したままとなるに違いない。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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