次期FRB議長候補のブレイナード氏とはどういう人物か
FRBのブレイナード理事は先週ホワイトハウスを訪れた際に、FRB議長の職について聞き取りを受けたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。バイデン大統領が次期FRB議長の人選を進める中で、パウエル現議長と共にブレイナード氏が真剣に検討されている(9日付ブルームバーグ)。
パウエル議長の任期は来年2月に終了する。バイデン大統領は次期議長について、迅速に決定を下すつもりだと述べていた。
現在のFRBでの毎年投票権を持つ常任メンバーは、パウエル議長、クラリダ副議長、クオールズ理事(前銀行監督担当副議長)、ブレナード理事、ボウマン理事、ウォラー理事となっており、一人の理事が空席となっている。
クオールズ理事は12月最終週をもって退任することを明らかにした。クラリダ副議長の任期は来年1月末となり、パウエル議長の任期は来年2月となっている。
空席の理事を含めた人事を早急に行う必要が出てきた。そのためには軸となる議長人事も優先すべき課題となる。
そのFRB議長候補となっているラエル・ブレイナード氏は、クリントン政権では大統領副補佐官およびG7、G8の首脳個人代表を務めた。 2001年から2008年までブルッキングス研究所副所長、2010年から2013年までオバマ政権で国際担当財務次官となっていた。2014年6月16日からFRBの理事を務める。任期は2026年1月31日まで
ブレイナード氏は以前に日本の為替政策にも大きな影響を与えていた人物とされている。
たとえば、2013年2月12日のG7による緊急共同声明について、円の過度な動きに懸念を表明することがG7の目的だったとの匿名のG7筋による発言があった。この匿名のG7高官とはブレイナード財務次官(当時)である可能性が高いとされた。
ブレイナード財務次官(当時)はご主人が、親日家のカート・キャンベル元東アジア・太平洋担当国務次官補であるが、こと為替政策についてブレイナード氏は安倍政権(当時)の動きを牽制していたとされる。
ブレイナード理事のFRB内での位置としてはハト派筆頭とされる。要するに金融引き締めより金融緩和を好むということだが、あまりそういった区分けは適切ではないと考えている。むしろ、セントラルバンカーとしての良識を持った判断をする人物かどうかという視点で見る必要がある。その意味ではセントラルバンカーとしての良識を持った人物だといえよう。
このため、もしブレイナード氏がFRB議長に就任したとしても、現在のスタンスから大きな修正はしてこないものと予想される。