小学生や中学生の数の推移をさぐる(2020年公開版)
小学生数は半世紀でほぼ半減
日本では中長期的に見ると少子化が進んでいる。人口そのものの減少はもちろんだが、若年層向けの市場縮小との観点で、多くの関連する産業がその現実を直視し、業績悪化の理由の一つとして少子化を掲げている。それでは具体的に、子供達の人数はどのような変化を示しているのか。文部科学省の全数調査「学校基本調査」の公開値から確認する。
まずは小学生の数。数そのものと前年度比のグラフを作成する。
対象期間内で2つほど大きな山ができている。これはそれぞれ第一次・第二次ベビーブームの影響によるもの。第二次ベビーブームの後はなだらかに減少を続けているが、意外なことに2000年度前後以降は減少幅が小さめとなっている。減少率・数はむしろ1980年度代から1990年度代、さらにいえば1960年度代の方が大きかった。
21世紀に入ってからは持ち直しを見せる動きもあったが、この10年強の間は前年度比マイナス2%以内のマイナス圏の中での動きに終始している。前年度比でマイナスの圏域にあることに違いはなく、小学生の数は減少する一方。戦後最大数を記録した1958年度の約1350万人(入学した数ではなく、その年に小学生として存在している数であることに注意)と比べ、直近の2020年度は約630万人。おおよそ半分にまで減少している。
中学生数は半世紀で4割強に減少
続いて中学生の数。状況は小学生とあまり変わりがない。
やや起伏が大きな感はあるものの(前年度比の縦軸の区切りが小学生のグラフと比べて大きめになっていることに注意)、やはり第一次・第二次ベビーブームの影響による大きな山が確認できる。それとともに減少が昨今に始まったものではないこと、むしろ2000年度前後以降は減少幅が少なめどころかプラスに転じている年度もあることが把握できる。
また人数に注目すると、小学生同様ピークの年と比べて直近の人数は4割強にまで縮小している。クラス編成人数が減り、学校そのものも廃校、あるいは合併するところが出てくるのも当然の成り行きか。
なお人数そのものが小学生の半分ぐらいでしかないのは、単純に小学校が6学年なのに対し、中学校が3学年だからに過ぎない。また人数のピークが小学生と比べて数年遅れで到来しているのは、第一次・第二次ベビーブームで生まれた子供が成長し、小学校、そして中学校に入学するまでに、数年の差異が生じるからに他ならない。
子供向けの市場(玩具や教育機材、学習塾など)では業績悪化の理由について「少子化の影響で云々」と説明をしている。しかし今回確認した限りでは、直接市場に影響する小中学生の数の減少は第二次ベビーブームの影響があった1980年度代以降継続している。
小中学生に代表される子供の数が減少しつつあるのは事実だが、少子化の影響云々を理由とするのなら、すでに10年単位で、それこそ1990年代時点で大きく問題視され、関連業界はその対策を講じていなければならない。にもかかわらず、動きが緩やかになってきてから「昨今の少子化が市場に大きな影響を」と主張しても、首を傾げざるを得ないのも事実ではある。
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