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ゴンザガ大出身の元NBA戦士ロバート・サクレが語る八村塁の可能性

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
八村選手と同じゴンザガ大からNBA入りしたロバート・サクレ選手(筆者撮影)

 現在“NBAに最も近い日本人”と言われる八村塁選手。すでに日本の複数メディアが報じているが、米国の名門校の1つゴンザガ大で2年目のシーズンを迎え、飛躍的な成長を見せている。

 特に1月に入ってからの活躍は顕著で、公式戦8試合に出場し、平均得点は13.5ポイントを記録。中でも特筆すべきなのはシュート成功率が60.5%という決定力の高さだ。現在も先発ではベンチスタートながら平均出場時間も21.5分に及び、着実に主力選手の仲間入りをしている。昨シーズンの平均出場時間が4.5分だったことを考えれば、まさに急成長といっていいだろう。

 強豪校でこれだけの活躍ができるようになったということは、それだけNBAに近づいたことを意味すると思いたいところだが、果たして八村選手の可能性は一体どの程度のものなのだろうか?現在サンロッカーズ渋谷で活躍するロバート・サクレ選手は、そんな質問に答えられる最適な人物といえるだろう。

 サクレ選手は同じゴンザガ大出身で、現在も同校でHCを務めるマーク・ヒュー氏の指導を受けてきた選手だ。しかも同校からNBAのドラフト指名を受けた21選手の1人で、4シーズンにわたりレイカーズで活躍している。現在の八村選手の立ち位置を見極める上でこれ以上の人物はいないだろう。

 まずヒューHCの指導についてどう考えているのだろうか。

 「実はコーチ・ヒューがいるから自分は大学のあるスポケン(ワシントン州)に現在も住んでいるし、今も大学への思いも強い。コーチ・ヒューの哲学は絶対に下を向かないこと。とにかく日々レベルアップしていくことを目指している。本当に彼からたくさんのことを学ぶことができたし、コーチであり、父親のような存在だった。今もすごく尊敬しているよ」

 そんなゴンザガ大で成長を続けながらドラフト指名を受けるまでの選手になったサクレ選手だが、それではドラフト指名を受けるような選手の資質とは一体どのようなものなのだろうか。

 「いうまでもなくNBAは選手の潜在能力を第1に見ているし、リーグに来てからどれ程の成長できるのかを見極めようとしている。そこには身体能力の高さもそうだが、しっかり指導を受け入れられる姿勢があるのかが大きな要素だと思う。コーチの指示をしっかり聞き、熱心に取り組んでいく選手でないと、才能を伸ばしていくことはできないからね。いくら才能があってもNBAにいってからその才能を伸ばしきれない選手も少なくない。そこが重要なんだ」

 ヒューHCの下で急成長を続けている八村選手は、まさにサクレ選手が指摘するようなしっかり才能を伸ばしていけるタイプの選手といえるだろう。それでは潜在能力という部分において、八村選手はNBAレベルにあるのだろうか。

 「シーズンオフの夏はゴンザガ大で毎日練習していたんだ。その時にルイとも一緒だったけど、素晴らしいプレーをしていたよ。彼の才能は無限大のように感じたし、間違いなくNBA選手になれる才能があると思う。すべては彼次第だ。彼がNBAにいきたいと思うのなら、そこにいける十分な身体能力を備えている。

 実はルイを自宅に招いたことがあって、僕だけじゃなく、息子も家族も彼のことが大好きだ。本当に素晴らしい青年だよ。人としても素晴らしい人物で心から彼の成功を祈っている」

 サクレ選手も太鼓判を押す八村選手の潜在能力は、やはり本物といっていいだろう。大学バスケの公式戦も残り1ヶ月を残すのみとなった。現在全米ランキングで15位につけるゴンザガ大は、昨年に続き全米大学選手権ベスト4(いわゆる「ファイナル4」)進出を狙っている。その大きなカギを握っているのが八村選手の更なる成長なのかもしれない。

 サクレ選手ではないが、やはり八村選手はどうしても期待を寄せてしまう選手だ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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