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アルバイトをしている大学生は約8割

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
アルバイトも大学生にとっては社会勉強の一つ、なのかもしれない(写真:イメージマート)

大学生の本業は学習であるが、同時に社会環境に慣れ社会人として大人の世界に足を踏み入れた際のトレーニングも欠かせない。その最たるものがアルバイト。その実情を独立行政法人日本学生支援機構が2022年3月に発表した「令和2年度学生生活調査」(※)などを基に確認する。

経年データのうち、アルバイト従業者率が調査項目に挙がっている2002年度以降について、状況の確認をする。まずは「大学昼間部の学生で、アルバイトをしている人の割合」をグラフ化したのが次の図。アルバイト従事者については「仕送りだけで学生生活は可能だが、生活に余裕が欲しいのでしている」との人と「仕送りだけでは学生生活の継続は無理(・不自由)。アルバイトで不足分を補てんしないと(、あるいは仕送りが無いので当然アルバイトなどで学費や生活費をまかなっている)」との人の区分もしてある。要はグラフ中で赤色と青色を合わせた値が、大学生のアルバイト従事率となる。

↑ アルバイト従事者率(大学昼間部)
↑ アルバイト従事者率(大学昼間部)

アルバイトをしていない大学生の比率は、2008年度まではほとんど変化が無かった。また、仕送りだけでは生活ができないのでアルバイトをしている学生の比率は減少傾向にあり、生活上のゆとりを求めてアルバイトに従事する学生が増加する傾向があった。

ところが2008年度は前回調査比で学生の生活がより困難になる動き、「家庭給付だけで修学可能」が減る・「不自由・困難・給付無し」が増加する流れが見え、2010年度ではさらにその動きが強まり「不自由・困難・給付無し」派が「修学可能」派を超える形となった。しかし一方で「アルバイト非従事者」率も2010年度では大きな増加を示し、大学生の金銭事情で二極化が起きた。一連の動きは2007年夏から始まった金融危機・経済不況に、大学生のアルバイト事情も大きく影響を受けたと考えざるを得ない。

2012年度以降は再び「家庭給付だけで修学可能」は漸増し、「不自由・困難・給付無し」派は減る傾向が見受けられた。ところが直近2020年度では「家庭給付だけで修学可能」「不自由・困難・給付無し」が減り、「アルバイト非従事者」が増えてしまっている。これは新型コロナウイルスの流行により、アルバイトをする機会そのものが減ってしまったことが原因と考えられる。

なお直近2020年度の「不自由・困難・給付無し」のうち、「不自由」は13.3%、「困難」は12.4%、「家庭給付無し」は5.8%となっている。

ちなみに昼間部の大学生全体における週あたりの平均アルバイト時間は直近2020年度では9.52時間との結果が出ている(中央値を基準として無回答を除き加重平均で各値を算出している)。

アルバイトをしていない学生も含めて均しているので、週あたり9.52時間は少なく感じる人もいるかもしれない。

↑ 週間平均生活時間(大学昼間部、時間)(2020年11月における不特定な一週間を調査)
↑ 週間平均生活時間(大学昼間部、時間)(2020年11月における不特定な一週間を調査)

↑ 週間平均生活時間(大学昼間部、アルバイトなどの就労活動、時間)
↑ 週間平均生活時間(大学昼間部、アルバイトなどの就労活動、時間)

国立大学生の方がアルバイト時間が短く、娯楽・交友の時間が長いなど、生活上でゆとりがあるように見受けられる。またバイト時間そのものは経年でほとんど変化は無かったが、直近年度では明らかな減少が確認できる。新型コロナウイルスの流行で、アルバイトをする機会そのものが失われてしまっているのだろう。

学生時代、特に大学生においては勉学そのもの以外の日常・社会生活も重要な「学びの場」であることに違いはない。だが、アルバイトにかまけて授業を軽視するようなことがないように気を付けてほしいものではあるし、アルバイトのための負担が大きく修学に難儀するようなケースが少なくなるような手立てが望まれるところではある。

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※令和2年度学生生活調査

2020年11月に大学院、大学学部および短期大学本科の学生(休学者および外国人留学生は除く、社会人学生は含む)の中から無作為抽出方法によって抽出された学生に対して調査票方式で調査されたもの。有効回答数は3万7591人。調査そのものは2年おきに行われており、現時点では2020年実施の結果が最新のデータ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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