シルクが年齢を明かさない理由
“吉本興業の美容番長”こと、タレントのシルクさん。4冊目となる美容本「シルクのべっぴん塾 筋膜ゆるトレ」も先月を上梓し、ますます美の伝道師としての存在感を増していますが、そもそも、美に興味を持つきっかけとは何だったのか。そして“うわさ年齢60歳”とも言われるものの、頑なに実年齢を明かさない理由とは。まっすぐな瞳で語りました。
昔は美にノーケア
本、シリーズ累計40万部売れているって、取材してくれる記者さんとかから聞くんですけど、そこはやっぱり吉本ですから、金銭的に私は全く実感ないですね(笑)。ただ、それだけの方々が手に取ってくださっているのは本当にうれしいことだし、ありがたいことだと思っています。
今でこそ、こんな本も出させてもらうようになりましたけど、美とか健康に興味を持つようになったのは20年ほど前からです。それまでは全くのノーケアでした。寝る直前までポテトチップスを食べて、運動もゼロ。料理も全然しないので、家にお箸もなかったくらいです。当時は60キロくらいあって、一重まぶたに二重あごで三段腹。“一二三ちゃん”とも言われてましたけど(笑)、それはそれでお客さんに笑ってもらえたらいいなと。
相方との別れ
それが急に変わったのは、相方(お笑いコンビ「非常階段」のミヤコさん)が肺がんで亡くなった時でした。相方はベジタリアンやったし、タバコも吸わないし、なんで肺がんになったんだと。そのうえ、なんで、命までとられるようなことになってしまったんだと。そんなやりきれない思いから、食べ物、運動、健康に関心を持つようになったんです。
きっかけがきっかけでしたし、さらに私は性分的に「これをやろう」と一旦なったら、そこにグーッと入り込んでいくタイプなので、美容、健康を考えるんやったら、体の仕組みも知っておかないといけないとなって、解剖学も勉強したりするうちに、もっと、もっと興味を持つようになっていった。そんな流れなんです。
今で言いますと、ピラティスは毎日やっているし、サルサも踊っているし、顔の筋肉を鍛えるために吹いているトランペットも、もう始めて10年になりました。もうトランペットも3台目です。やっぱり続けているとスキルも上がってきて、今は映画「ロッキー」のテーマを力強く吹いています(笑)
あと、やっぱり大事なのが食事です。美容って、食べ物が60、運動が25、ストレスフリーにしておくことが15、そして遺伝が5。それくらい、食べ物って重要なんですよね。ルーティンみたいなところだと、朝はリンゴと旬の果物、ま、今だったらみかんとかですかね、それと小松菜をジュースにして飲んでいます。あと、納豆を粉末にした納豆パウダーを持ち歩いていて、外食の時も、ご飯にかけたり、汁物にいれたりして、腸の菌を元気にする“腸活”に励んでいます。
それと、歯ブラシはいつも4本持ち歩いていて、それぞれを使い分けて食後に磨いています。歯が元気ということは栄養がいきわたっているということだし、食べるにも歯は基本だし、そこも大切にしなきゃなと。
恋と美容
…あと、よくニュースにもしてもらったりしていますけど、やっぱり気持ちを元気にするためには恋も大事なことだと思っています。いろいろよかれと思って頑張っていることに対して、自分のことを好いてくれる人がいるという形で結果が出る。こうなると頑張りごたえもあるし、世の中に若くてきれいな人はいっぱいいるのに、その中で、その中で、こちらを見てくださったというのは純粋にうれしいですからね(笑)
今、仲良くさせてもらっている方(会社経営の50代男性)は東京の方で、私は大阪。拠点は別々なんですけど…、え、結婚ですか?それは、ま、向こうから言われたら、そらねぇ、一回くらいしてみたいなと思いますよ(笑)。言うてくれはるんやったら、それは、ねぇ…。ま、私はいつしてもエエんですけどね。あんまり言って、負担になったらあきませんけど…。でも、死ぬまでに一回は結婚をしておきたいという思いはあります。自分の感覚として、結婚というものを知っておきたいなと。正直な話。
年齢を明かさない理由
ま、うわさ年齢60歳ですから(笑)、極力、パッパッといろいろ考えないといけないですしね。先輩の師匠方から「ホンマの歳を言った方が『シルクちゃん、よく頑張ってるやん』となるから、正直に言ったらエエのに」みたいなことを言っていただくんですけど、ま、それはそれで考えるところもありましてね…。亡くなった今いくよ師匠がおっしゃってたんです。「女性は38歳過ぎたら、年齢言うたらアカン。ウソの三八やないけど(笑)、そこを過ぎたら、もう出さん方がいいよ」と。
というのは、話をする相手の方が、たとえばこちらが40歳やったら40歳、50歳やったら50歳に向けた話し方をしてくる。内容にしても、口調にしても。特に女性に対しては。そうなると、知らず知らずのうちに話の幅も狭まってくる。それは芸人としてよくないことだし、そうしないためにも年齢をハッキリさせず、ふわっとかわいらしくいておくことが大切やと思うでと。
とはいえ、今のご時世、ネットで調べたら何でも出てくる時代ですから、何となく年齢は皆さん分かっているとは思います(笑)。ただ、それでも、ハッキリ分かっているのと、少しでもふわっとしているのでは何かが違ってくるなと。年々、いくよ師匠のおっしゃっていたことがより深く分かってくる気がしています。
確かに、リアルに年齢が分かると、なかなかに相手にダメージを与えるところもあるみたいで…。以前、オーストラリア人の彼氏とラスベガス旅行をして、ま、実年齢を言わずにお付き合いをしていたんですけど、そうしたら、彼氏が私のパスポートを見てしまいまして。そこで「マザーと5歳しか違わん!!」と大ショックを受けていました…。やっぱり、いろいろな意味でこれからも年齢はヒミツということでいきたいと思います(笑)。
(撮影:中西正男)
■シルク
3月31日生まれ。大阪市出身。大阪外国語大学外国語学部英語科(現在の大阪大学外国語学部外国語学科英語専攻)を卒業し、1985年、同級生のミヤコさんとお笑いコンビ「非常階段」を結成する。96年、ミヤコさんが肺がんで亡くなり、以後はタレントとして活動。語学力を活かし、松本人志のベストセラー「遺書」の英訳も手がけた。2007年から行っている美容イベント「べっぴん塾」はライフワーク的な取り組みになっており、先月には美に関する知識をまとめた4冊目の著書「シルクのべっぴん塾 筋膜ゆるトレ」を上梓した。