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副業新時代のはじまり ~未来を楽しく生きるために、今、副業の準備を始めよう~

染谷昌利副業研究家

昨今、「副業」という言葉がよく使われるようになりました。みなさんのまわりでも、副業に興味を持っている、あるいはすでに副業を始めている人も出てきているのではないでしょうか。

 

確かに以前から副業に寛容な企業もありました。

 

リクルートやIT関連企業など、比較的、新しい働き方を提唱する企業がそうです。しかしながらここ数年、ロート製薬やコニカミノルタなどの歴史の長い企業、金融機関の中で先駆けて新生銀行が副業解禁に舵を切りました。

 

副業容認の大きな要因の一つとして、政府が掲げる「働き方改革」という方針が挙げられます。

 

2018年1月には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。同時に同省が提示していた「モデル就業規則」を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設しました(第14章第67条) 。

副業・兼業(厚生労働省)

 

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」についての詳細な解説は割愛しますが、要はモデル就業規則の内容が「原則副業禁止」から「原則副業自由」に変換されたわけです。

 

労働者としては収入源が一社の給与だけというのは、先行きの見えないこの時代では大きなリスクになります。突如として倒産する企業もあれば、業績不振でリストラを断行する企業もあります。

 

そのリスクは複数の収益源を作っておくことで回避できます。収入がいきなりゼロになることは適切な準備によって防げるのです。

 

さらに複数の収益源があるということは、人生の選択肢を増やすことにも繋がります。給料は下がっても昔から夢だった職に就きたい、副業で得た資金でデザインスクールに通いたいなど、一つの会社からの給与以外の収入があることで、心の余裕が生まれ、新たなチャレンジに踏み出しやすくなります。

 

そして労働者が自由な働き方を選択できるようになると、企業側も一社に縛り付けておくような雇用形態では優秀な人材を繋ぎ留められない時代に突入してきます。

 

なぜなら副業を禁止することで、能力の高い社員の離職を促進してしまう可能性があるからです。優秀な人材であればあるほど引く手あまたで、なおかつ少子化による労働力不足も相まって、条件の良い企業に転職してしまうからです。

 

逆に副業が一般化されることで、他の会社に勤めている優秀な人材を自社に招き入れることも可能になります。

 

2012年から社員の副業を認めているサイボウズ社では、2017年に新たな採用制度である「複業採用」を始めました。複業採用は、サイボウズ社での仕事を「副業」として働きたい人材を募集する制度で、「100人いたら100通りの働き方」を提唱する同社の多様な働き方を体現しています。

多様な働き方へのチャレンジ(サイボウズ)

 

企業側も新しい働き方を模索しながら進めているわけです。その波に乗り遅れないよう、気づいたら仕事がなくなっていた!なんてことにならないよう、今から準備をしておく必要があります。

 

今後、日本は労働力不足のフェーズに突入していきますが、優秀な人材は複数の仕事を請け負いつつ自分の人生を楽しんでいけるでしょう。逆に準備の足りない人はまったく仕事がなくなる世界になるかもしれません。

 

とは言え、いきなり副業OKと促されても、いきなり副業を始められる人は決して多くありません。

 

週に3日ずつ複数の企業に勤務する、本業の時間外にアルバイトをする、自分の知識や経験を活かして講演する、情報発信して広告収入を得る、自作のアクセサリーを販売する、Airbnbなどの民泊のシェアリングサービス、マンションを購入して賃貸業を営む、などなど副業には様々な種類があります。

 

私は自分の力でお金を稼ぐ力を身につけることは、これからの激動の時代を楽しく生き抜く上で非常に重要な要素だと考えています。会社に勤めながらも、本業以外の仕事でお金を稼ぐことができたなら、稼ぐための準備をしていたなら、あるいはコネクションや能力を伸ばしておいたならば、急激な時代の変化に対応できるのです。

 

複数の収入源を構築することで、安全性、柔軟性、多様な人生経験を得ることができます。今日から副業の計画を立て、まず一歩踏み出してみましょう。

副業研究家

12年間の会社員時代からさまざまな副業に取り組み、2009年にインターネット集客や収益化の専門家として独立。会社員時代は人事採用・人材開発・人事管理などの管理部門7年、営業・企業投資などの営業部門5年に従事。独立後はブログメディアの運営とともに、オンラインサロン運営、書籍の執筆・プロデュース、YouTube活用サポート、企業や地方自治体のPRアドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組む。現在は副業の重要性を伝えるため、新聞や雑誌、ウェブメディアの連載の傍ら、テレビやラジオなどのマスメディアへの働きかけをおこなっている。著書・監修書に『副業力』、『ブログ飯』、『複業のトリセツ』

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