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タイガー・ウッズ、長男とプロアマ戦に出場。新ドライバーで320Yを披露。「父と子の絆を強めたい」

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

今年2月の交通事故で右足に重傷を負ったタイガー・ウッズは、今週18日と19日(米国時間)の2日間、フロリダ州オーランドのリッツカールトンGCで開催されるPNCチャンピオンシップに12歳の長男チャーリーくんとともに出場する予定だが、その前日の17日にプロアマ戦に臨み、交通事故後、初めて試合会場で18ホールをプレーした。

米メディアはウッズ父子の会場入りを駐車場で待ち受け、2人のウォーミングアップからスタート風景、そして1番から18番までの一打一打と一挙手一投足、すべてを追いかける熱の入れようだった。

頭のてっぺんからつま先まで黒で統一した出で立ちで登場したウッズ父子は、練習場で前後の打席に入り、そっくりなスイングで球を打ち始めた。

数日前に米メディアが報じた通り、ウッズのゴルフバッグにはテーラーメイドの新ドライバー、「ステルス+」のロフト9度のプロトタイプが入れられていた。

練習グリーンでチャーリーくんが握ったのは父親のエースパターと同じスコッティ・キャメロンのニューポート2のミニ・バージョン。

しかし、チャーリーくんの足元を見ると、父親のナイキのシューズとは異なるプーマのシューズというところが愛らしく、そうした細かな点の1つ1つが米メディアによって次々に「ニュース」として報じられていった。

「Tiger Woods」と記された名札が付された乗用カートが用意され、ウッズは自らカートを運転していたが、チャーリーくんと並んで歩く姿も多々見られた。

スタート時間の午前9時。1番ホールには、ティグラウンド周辺にもフェアウエイ沿いにも大勢のギャラリーがずらりと並び、まるでビッグ大会のスタートホールさながらの光景だった。

ウッズもチャーリーくんもドライバーでティオフし、父子は危なげなくバーディー発進。その後も着実にフェアウエイとグリーンを捉え、次々にバーディーを重ねていった。

米メディアによれば、ウッズのドライバーショットの飛距離は、ラウンド序盤は285ヤード前後だったそうだが、折り返し後の11番では320ヤードを記録。

アイアンやウエッジでピンそばを捉える精度は依然として高く、寄せやパットの絶妙な感覚と感性も今なお健在という様子。

交通事故で右足に重傷を負い、10か月ぶりに試合会場でプレーしているウッズであることを忘れてしまいそうなほど、ウッズのゴルフは「元気」に見えた。

とはいえ、ウッズの右足が完全回復しているわけではないことは言うまでもない。ラウンド終盤に向かうにつれて、ウッズはところどころで自分自身の出番を減らし、「バック9のティショットのほとんどはチャーリーに任せた」。

ウッズが肉体面で多少の無理をしていることは想像に難くない。しかし、ウッズは前進する意欲を溢れさせている。

「3か月もベッドの上にいたんだから、休んでいる暇は1日たりともない。毎日、回復に取り組んでいく」

昨年大会では7位だったが、この1年、練習を重ねてきたチャーリーくんのゴルフは昨年以上に「ウッズ的」になっている。

「僕が今のチャーリーの年齢だったとき、あのスピードでスイングできてはいなかった」とウッズは息子のゴルフを手放しで絶賛。とはいえ、「僕はコーチではなく父親だ」と目を細める。

そんな自慢の息子チャーリーくんのためにも、この日のプロアマ戦をしっかり終えたウッズは、明日からの36ホール・マッチを父子で戦い、「絆を強めたい」と願っている。

「楽しむことが第一。スコアは自ずと付いてくる」

そう語りながらも、ゴルフ界の永遠の王者ウッズと、そのアスリート魂をそのまま受け継いでいるチャーリーくんは、明日からの2日間、やっぱりスコアや順位を追いかけ、必死の戦いを披露することだろう。

ウッズの復帰戦は、いよいよ明日から――。世界中が「奇跡」の意味を実感することになる。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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