小中学生はもらったお年玉を何に使っているのかをさぐる(2020年公開版)
子供にとってはボーナスのような大きな収入となるお年玉。そのお年玉はどれぐらい自分で使うことができ、何に使うのだろうか。その実情をバンダイが2020年1月に発表した「小中学生のお年玉に関する意識調査」(※)の結果から確認する。
今調査の限りでは小中学生がもらったお年玉総額の平均は2万5594円。
小中学生にとっては日頃のこづかいやお駄賃とは別口の、臨時の収入であり大金に違いない。
それではその大金は自分で自由に使えるのだろうか。次に示すのはもらったお年玉について、どれほどの額を自分で使い道を決めて自由に使えるかを尋ねた結果。小学生では全額を自由に使えるとした人は27.2%、中学生では48.0%に留まる形となった。逆に考えれば小学生は72.8%、中学生は52.0%が、もらったお年玉の使用について何らかの制限をかけられていることになる。
自由に使えない金額について、どのような制限が課せられているかは問われていない。単純に保護者が一時預かりをして分割して手渡したり、専門の預貯金口座に預け入れさせられたり、さらには保護者が(一部を)「回収」してしまうかもしれない。
全額も含めてとにかく半額以上使える人を計算すると、小学生は36.5%、中学生は60.0%。学年にもよるが、小学生にはお年玉はまだ全額を渡して自由に使ってよいとするのには大きすぎる額だと判断する保護者が、少なからずいるということなのだろう。
他方、「もらったお年玉は全額自由に使ってはいけない」は小学生で14.8%、中学生でも7.3%。単に口座に入金して欲しいものがある時に保護者に引き出してもらう形をとっているのか、定期的なお小遣いに上乗せさせるのか、それとも保護者が全部を「回収」するのか。中身までは分からないが、お金の使い道を考えるのも勉強に他ならないことを考えると、少々首を傾げる話ではある。
次に、自分で自由に使えるお年玉を何に使うのか。子供達に聞いた結果が次のグラフ。報告書では全体でトップ10、各属性別でトップ5まで公開されているため、グラフ内に各属性のトップ5がすべて掲載されるようにしている。
全体でも属性別でもすべてトップは「貯金」。今後何か買う目標(例えばパソコン、スマートフォン、高級自転車)があるために一時的に貯めておくものなのか、それとも純粋に将来に備えた貯蓄としての貯金なのかまでは分からないが、貯蓄好きの傾向が見て取れる。あるいは保護者から一定額は貯金をしておきなさいと言われての選択なのかもしれない(上の「自由に使えない金額」ほどの強制力はないが)。
全体では「ゲーム機・ゲームソフト」が第2位。価格が高く普段のこづかいでは買えない場合が多いことから、これは順当な結果。次いで「玩具・カードゲーム」がついているが、これは普段欲しかったものをまとめ買いするケースもあるのだろうか。「飲食物」がその次についているが、これは具体的にはお菓子やジュースなど。お年玉でないと買えないほどの高級菓子を買い求めるとは考えにくいので、お年玉で贅沢に好きなだけ買ってみたいということだろう。
学校種類別で見ると、小学生では第2位に「玩具・カードゲーム」が、第3位に「ゲーム機・ゲームソフト」が入っているのが印象的。小学生のお年玉ではゲーム機などを買うのには額が不足しているのか、それとも欲しいものの優先順位としてはゲーム機よりも玩具やカードゲームの方が上なのかもしれない。中学生になると「ゲーム機・ゲームソフト」は第4位にまで後退し、「玩具・カードゲーム」はランク外となる。上位には「飲食物」「文房具、雑貨」などが入る。普段から使っていて不足しているものをまとめて調達したり、贅沢な使い方をしてみたり、グレードを上げるような使い方を好んでいるのかもしれない。あるいはゲーム機などで大きな額を使いたくはないということなのだろうか。
男女別では「貯金」がトップなのは変わらないが、男子では「ゲーム機・ゲームソフト」「玩具・カードゲーム」、女子は「文房具、雑貨」「飲食物」が「貯金」に続く形。元々男女別の好み、趣味によるところも大きいが、男子の方が女子よりも大きな金額を使いたがる傾向があるように見える(「貯金」の値も男子は36.3%だが女子は41.2%)。
2021年の正月は新型コロナウイルスの流行で帰省や正月のあいさつ回りも自粛されるだろうことから、お年玉の相場も大きな変化が生じる可能性がある。それに伴い子供達のお年玉の使い方にも変化が出てくるのだろうか。今調査は不定期調査のようだが、2021年の正月におけるお年玉を対象としたものも、是非とも実施してほしいものだ。
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【だれもが気になる「もらったお年玉はどうしたか」、その実情をグラフ化してみる(2016年)(最新)】
※小中学生のお年玉に関する意識調査
2020年1月6日から8日にかけて小学生か中学生の子供がいる保護者900人を対象に、インターネット経由で子供と一緒に回答する形で答えてもらったもので、有効回答者数は900人。子供の男女別・学年区分で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。
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