米軍が「金正恩斬首」部隊を韓国に送り込んだ
米軍は今月に入り、陸軍第75レンジャー連隊などの特殊部隊を韓国にローテーション配備したと発表した。同部隊は、イラク戦争やアフガニスタンでの戦闘に投入され、敵の要人を暗殺する「斬首作戦」などを担ってきた。
(参考記事:在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備)
隠密行動が求められるこうした部隊の配備が発表されるのは異例であり、これが核・ミサイル問題を巡る対北圧力の一環であることは間違いない。
韓国では昨年から、金正恩氏らに対する「斬首作戦」の導入が議論されている。まず、韓国陸軍特殊戦司令部(特戦司)が、国会国防委員会に提出した資料を通じて、「敵(北朝鮮)の戦略的核心標的を打撃するための特殊部隊の編成を推進している」と明らかにした。一方、韓国空軍は同様の資料で、来年にも戦闘攻撃機KF-16に遠距離から北朝鮮領内を隅々まで攻撃できる能力を付与すると明らかにしている。
こうした動きの背景には、金正恩体制が存続する限り、もはや対話で核・ミサイル問題などを解決するのは無理なのではないか、という軍部や政界内部の空気がある。
そして、対話に絶望しているのは金正恩氏の方も同様だ。同氏の「核の暴走」が加速する一方なのは、国際社会から人権問題で追い詰められているからだ。
(参考記事:北朝鮮「核の暴走」の裏に拷問・強姦・公開処刑)
そして、国連において北朝鮮の凄惨な人権侵害を暴いたのは、日米韓やEUである。これらの国々は、北朝鮮が核開発をやめたとしても、政治犯収容所などで日々行われている蛮行を見逃すわけにいかない立場にある。
(参考記事:赤ん坊は犬のエサに投げ込まれた…北朝鮮「人権侵害」の実態)
今後、日本や米国との国交正常化など見込めないことは、いいかげん金正恩氏も理解したころだろう。だからこそ、ヤケクソ半分で「核のボタン」を押してしまうのだ。
そして、対話による問題解決が不可能であると判断されれば、実力による北朝鮮の「レジーム・チェンジ(体制変更)」がおのずと視野に入ってくる。
米軍の韓国への特殊部隊配備は、現段階では「ポーズ」に過ぎないかも知れない。しかし近い将来、その動きが「ホンモノ」になる可能性は、低くないのだ。