主要ソーシャルメディアの利用率の変化を探る
この数年でコミュニケーションの様式を大きく変化させた要因の一つに挙げられるのがソーシャルメディア。スマートフォンと相互作用する形で普及率は急上昇し、社会・経済方面にも大きな影響を与えている。今回は総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果の公開値から、この数年にわたる利用率の変化を確認していく。
次以降に示すのは日本における主要ソーシャルメディアとして挙げるLINE、Facebook、Twitter、そしてmixiの、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」における利用状況。LINEは厳密にはソーシャルメディアでは無く対個人・少数人数間におけるチャットツールだが、今調査ではソーシャルメディアとして取り扱っていることから、今回もその仕切りに従う。
なお「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では現時点で今回年も合わせ4年分の調査が行われていることから、4年分の推移を見ることになる。
まずはLINE。
若年層、特に10代から20代の利用率が高い現状はご承知の通りだが、2012年から2013年にかけて急速に普及が進んだ様子が分かる。とりわけ学生・生徒(中学生から大学生)では2012年の時点ですでに45.3%が利用しており、2013年ではさらに30%ポイント近い上昇を示して3/4の利用率に達している。ほぼ同時期にはスマートフォンの普及も急速に進んでいることから、スマートフォンの利用とLINEが一体化したかのような連動性を示していることが理解できよう。
直近の2015年ではむしろ先行して普及した属性は頭打ちの状態で、30代以降にまで浸透が進み始めている。30代から50代における2014年以降の急上昇は、子供との連絡用として導入したことも十分考えられる。
続いてFacebook。
LINEほどではないが、やはり2012年から2013年に大きな飛躍が確認できる。もっとも20代から50代と就業者の範ちゅうでの伸びが著しく、学生・生徒や10代では大きな上昇がないことから、ビジネス的な利用目的で始めた人が多かった可能性はある。
直近の2015年では30代から40代で大きな上昇が見えており、これもまたビジネス的に必要に迫られての利用開始の面が大きいと見て良いだろう。10代、学生・若者では逆に減っているが、これは「若者のFacebook離れ」とみるべきか、単なる誤差の範囲かは判断が難しい。
TwitterはFacebookを一回り小さくしたような動き。
2012年から2013年にかけての大きな動きは10代と20代で顕著だが、それ以外の属性では見られない。少しずつ利用率が高まる形。一方でFacebookでも見られた傾向だが、10代よりも学生・生徒の値が大きく、学生間でFacebookやTwitterが率先して使われ、浸透している様子が分かる。LINEが10代と学生・生徒の値の差がほとんど無かったのと比べて特徴的ではある。
他方、直近となる2015年では若年層を中心に、大きな利用率の上昇が見られる。また30~40代の中堅層も有意な上昇が確認できる。10代の上昇こそ違えど、Facebookと似たような動きではある。
最後はmixi。
上記3ソーシャルメディアとは大よそ逆、年を経るに連れて利用者が減少している。特に2012年から2013年にかけて若年層、具体的には10代から20代、学生・生徒の減り方が著しく、とりわけ10代と学生・生徒では半分以下にまで落ち込んでいる。同時期にLINEが急速に伸びた動きを示していることを合わせ考えると、相関関係をもとにした推論でしかないが、多分のmixi若年層利用者がLINEに流れたと見ても不思議ではない。
全体では2012年から2015年にかけて利用者は4割強にまで減少。10代に限れば1割程度にまで減ってしまっている。学生・生徒ならば1割にも満たない。
一応経年変化としてのデータは存在するが、まだ4年分しか抽出できないため、ぶれが生じている可能性は否めない。明確な変動傾向はあと数年調査結果の蓄積が欲しいところだが、インターネットサービス系のすう勢は流れが速く、調査データが蓄積される前に明らかな結果が出てしまう可能性すらある。
とはいえこの数年は、ソーシャルメディアの趨勢が大きく動いた期間でもある。色々な意味で、納得のいく動きを示していることには違いない。
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