日本は世界で11位 SDGs達成状況の現在地
日本は世界で11位 SDGs達成状況の現在地
7月8日に、国連でまさかのピコ太郎氏「PPAP」?(大西連) - Y!ニュースという記事をアップしました。
その後、ピコ太郎氏は岸田外務大臣と面談し、実際に現在ニューヨークの国連本部で開催されている「HLPF(持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム)」にピコ太郎氏自身が参加すること、日本政府主催のレセプションでSDGs版「PPAP」を披露することが発表されました。
外務省のリリースはこちら。
アンジェリーナ・ジョリーさんの前でピコ太郎氏が躍動する予定の17日は、日本政府が「自発的レビュー」といって、自国の取り組みを発表する日でもあります。(いやぁ、アンジーは一緒に踊ってくれるかなぁ。大丈夫かなぁ……)
日本の国連で発表するレポート内容
さて、17日の「自発的レビュー」での日本政府の発表内容(レポート)が公開されました。(全文英語ですが。。。)
概要を簡単に解説すると、
・日本政府はSDGs推進のため総理大臣を本部長とした推進本部を作った
・推進本部はすべての閣僚、各省庁が参加したもので、さまざまなステークホルダー(産業界、学者、NGO等)が参加する円卓会議を開催し、実施指針を策定した
・実施指針はSDGsの日本国内の取り組み、国際協力の両輪について明記し、8つの優先分野と140の具体的な施策を紐づけた
・今後、SDGsの各ゴールの達成とデータの提示による取り組みの見直しや確認をおこなう
というような内容になっています。
持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)
また、すべてを紹介すると膨大な量になってしまうのですが、具体的には、「一億総活躍」の文脈で議論されている「働き方改革」や「子ども貧困対策」「女性活用」などについて、SDGsの各ゴールを達成する一つのアプローチとして紹介されています。
ちなみに、「一億総活躍」って、英語で「Japan’s Plan for Dynamic Engagement of All Citizens」なんですね。。。なんかダサい(笑)
そもそもSDGsって?
といっても、そもそも「SDGs」ってなんだ?って人がまだまだ多いと思います。
前回の記事で、
・SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された新しい国際目標である。
・「貧困」や「環境」、「男女平等」や「インフラ整備」など、17のゴール、169のターゲットを盛り込んでいる。
・すべての国が2030年までに目標達成を目指す。
ということは紹介しました。
子どもや孫の世代に安心して渡せる「経済」や「環境」、「社会」に地球レベルで変えていく、というものだということ、「誰一人取り残さない(no one will be left behind)」というメッセージが発信されているということが重要なポイントです。
全文はこちら
もちろん、日本は先進国ですから、このなかの目標ですでに達成しているもの、達成しつつあるものも多くあります。
では、日本のSDGsの達成状況はどうなっているのでしょうか。
日本のSDGs達成状況
さきほど紹介した日本政府のレポートでも、日本の現在の「立ち位置」が触れられています。
(この「日本の立ち位置」について政府のレポート内に入れるように政府の「円卓会議」の委員として提言していたので反映されていて良かったです。)
政府のレポート内では、2016年のSDSNとBertelsmann財団によるレポートが紹介されていますが、日本は、「(目標1)貧困」「(目標5)ジェンダー」「(目標7)エネルギー」「(目標10)不平等」「(目標12)持続可能な生産と消費」「(目標13)気候変動」「(目標14)海洋資源「(目標15)陸上資源」「(目標17)実施手段」が弱いとされています。
最新の2017年度版のレポートが発表されたのが7月6日だったので、政府のレポートは1年古いものが掲載されているのですが、では、最新のレポートをもとに日本の「立ち位置」を見てみましょう。
日本は世界で11位(157か国中)
SDSNとBertelsmann財団による各国の取り組み状況を調査した最新の2017年版レポートによると日本の達成状況は157か国中の11位。(OECD35か国中でも11位)
レポートの全文はこちら。
1位はスウェーデン、2位はデンマーク、3位はフィンランドに4位はノルウェーと、北欧勢が無双状態ですが、そのなかで日本はG7のなかではドイツ、フランスに次ぐ3番目となっています。
(ちなみに大国であるアメリカは42位、ロシアは62位で、中国は71位です。)
日本の強みと弱み
国別のレポートを見てみましょう。
目標をすでに達成されているとされている緑色で評価されているのは、「目標4(教育)」「目標8(経済成長と雇用)」「目標9(インフラ、産業化、イノベーション)」。
達成に近づきつつあるが課題が多い黄色で評価されているのは、「目標1(貧困)」「目標2(飢餓)」「目標3(保健)」「目標6(水・衛生)」「目標11(持続可能な都市)」「目標16(平和)」。
課題が多いとされているオレンジでの評価は、「目標7(エネルギー)」「目標10(不平等)」「目標14(海洋資源)」。
達成に程遠い(非常に悪い)とされている赤色での評価は、「目標5(ジェンダー)」「目標12(持続可能な生産と消費)」「目標13(気候変動)」「目標15(陸上資源)」「目標17(実施手段)」となっています。
もちろん、これはあくまで「指標」ではあるのですが、一つの目安になるのは事実です。
それぞれの各分野の細かいスコアについても報告されています。
例えば、「(目標1)貧困」は、黄色で評価されていますが、いわゆる「絶対的貧困」の基準である「1日1.9ドル以下で生活している人の割合」は緑色ですが、「相対的貧困率」は16.1%(2012年のデータですが)で赤色などと、同じ目標のなかでの達成状況の違いがよくわかります。
日本で特に悪いのは、「目標5(ジェンダー)」の「女性の国会議員比率」や「賃金格差」など、今後改善が求められる(必要な)ものもあります。
また、同じく悪いとされている「目標12(持続可能な生産と消費)」の「食品廃棄物」なども環境への対応のみならず、今後、法整備等が求められてくるものでしょう。
これらの細かい指標のなかには「?」というようなものも含まれている部分はあるのですが、日本の強みと弱み、現在の立ち位置を測るには一つの目標となるものではあると思います。
そして、この指標には含まれていないものについて、たとえば、「目標8(経済成長と雇用)」の「同一労働同一賃金(8.5)」や、「大学無償化もしくは給付型奨学金の拡充(4.3、4.5)」なども、その実現に向けたアクションをおこなっていくことが必要です。
SDGsはスタートしたばかりですが、世界の新しい目標として、また、日本の各施策(8つの分野と140の施策)もSDGsの文脈で語られる時代になったと言えます。
まだまだ、多くの人に認知されているとは言いづらいですが、日本の取り組みは始まったばかり。ピコ太郎氏のみならず、今後の動向に注目です。