お金がなくて生活に困ったら 活用できる制度&相談先リスト#生活危機
長引くコロナ禍、そして、物価高と、生活が苦しくなったり、家計のやりくりに不安を感じたりしている方も多いのではないでしょうか。
コロナ禍で、政府は緊急的な支援施策などをさまざま実施していましたが、それらも少しずつ縮小したり、終了したりと、平時に近い対応に戻りつつあります。
もっとも、物価高への対応として新たに実施している支援施策もあります。
また、コロナ禍での制度要件の緩和などを、今後も継続しておこなうことを検討している支援施策もあります。そして、自治体ごとの取り組みもあります。
実際に、いろいろな支援施策があり、それこそ、自分や家族が一体どの制度を活用できるのか、それぞれの制度の要件はどのようなものか。それらを収集したり判別したりことは簡単なことではありません。
すべてを網羅的にご紹介することは物理的に困難なのですが、ここでは、代表的な支援施策、特に全国に窓口があり対応している支援施策について、簡単にご紹介したいと思います。
以下に、それぞれの支援制度の簡単な内容、相談先の窓口の情報について記載します。
生活にお困りの方は、ぜひ、遠慮せずに制度等の申請、また、各機関へのご相談等をしていただきたいと思います。
■活用できる支援制度をオンライン上で把握するツール
各支援制度の紹介の前に、活用できる支援制度をオンライン上で把握するツールについて紹介します。
現在、内閣官房孤独・孤立対策担当室が「あなたはひとりじゃない」というwebページを開設しています。
そこでは、ページ上で、いくつか質問に答えたり、お悩みごとを選択してもらうことにより、政府が実施している約150の支援制度等について、チャットボットで検索することができます。
また、民間団体でもこういった支援情報をオンライン上で検索できるツールを公開しているところもまだ多くはないですが存在します。
私が所属している〈もやい〉でも「支援検索ナビ」というツールを公開しています。
こういったオンラインツールなどは、実際に窓口に行くのとは違い、曜日や時間帯を問わずに活用できます。制度の概要や全体像を把握するためにもご活用いただければと思います。
ここからは、各制度の紹介をします。
■生活保護 1か月分の支出をまかなえなさそう…遠慮なく生活保護を申請しましょう
生活保護制度は働いている人でも健康な人でも、収入と資産が生活保護基準を下回れば利用できる制度です。
生活保護基準は年齢や世帯人数、住んでいる地域などによっても異なりますが、都内だと単身で約12万円ちょっと。(生活費分と住宅費分を合わせて)
収入や資産がこの金額に満たない場合に、足りない分の支給を受けることができます。
生活保護制度の詳細についてはこちらをご参照ください。
それこそ、今月中に生活が立ち行かなくなる、というような状況でしたら、生活保護制度の申請をご検討ください。
申請はお近くの自治体の窓口(福祉事務所)で可能です。
また、〈もやい〉では、オンラインで生活保護の申請書を作成できるツールを公開しています。
生活保護制度は、収入減などで一時的に利用し、収入が生活保護基準をこえて、必要がなくなったら利用をやめる、などもできます。
また、失業した方などの場合は、生活保護を利用しながら再就職へのサポートをしてもらうことも可能です。
生活保護制度を利用することにためらいがある、できれば利用したくない、そういった声を支援現場で聞くこともあります。
厚労省は、「生活保護は権利です」と積極的に発信しています。
遠慮せずに、まず一度、公的機関へのご相談を検討してください。
■生活困窮者自立支援制度 しばらくは何とかなりそうだけど生活を立て直したい
例えば、1か月は何とかなりそうだが、手持ち金が少なくなるのは心配だ、貯金は少しあるのであと数万円あれば何とかなる、などの状況の人もいると思います。
生活保護を利用できる状況ではないけれど、結構ピンチ、そういった方に、総合的な相談対応をおこなう公的な窓口として、生活困窮者自立支援窓口があります。
自治体によって窓口の名称は異なりますが、基本的にすべての自治体に設置されています。
この生活困窮者自立支援窓口では、その方の状況に応じて、活用できる支援施策をご案内するほか、民間団体とも連携して支援のコーディネートをおこなうこともあります。
■住居確保給付金 家賃の補助を受けたい
上記の生活困窮者自立支援窓口で相談&申請ができる制度として住居確保給付金という制度があります。
これは、上限額はありますが、原則3か月(最大9か月まで)の家賃について給付で補助をおこなうものです。
離職もしくは収入の減少、一定金額以下の貯金額、などの要件があります。また、コロナ禍および物価高等の影響を鑑みて、求職要件等の緩和が実施されています。
住居確保給付金は、制度の要件がやや複雑です。上記で紹介した生活困窮者自立支援窓口で相談&申請が可能な制度ですので、ご自身が該当するか判断がつかない場合は、まず窓口に相談に行かれることをおすすめします。
■生活福祉資金貸付 少額の貸し付けを受けて何とかしのぎたい
社会福祉協議会が実施している「生活福祉資金貸付」では、少額の貸し付けをおこなっています。
コロナ禍で要件を緩和した「緊急小口資金貸付」「総合支援資金貸付」は「特例貸付」として、のべで300万人の方が利用しました。
現在、この「特例貸付」は事業をすでに終了しています。
返済免除等の申請については随時おこなっていますので、すでにお借りしている方は各窓口にお問い合わせいただければと思います。
社会福祉資金貸付には、いろいろな条件等があります。詳細は下記のリンク先をご確認いただいたり、実際の窓口となる市区町村の社会福祉協議会にお問い合わせしてみてください。
■ハローワークでできること
ハローワークというと、失業給付を受け取ることや、お仕事探しのイメージがあると思いますが、それ以外にも求職者支援制度の窓口でもあります。
求職者支援制度は、10万円の給付金を受けながら職業訓練などをおこなうことができる仕組みです。条件がありますが、その後の就職のサポートも含めてハローワークで担当してくれます。
これ以外にも、ハローワークには、マザーズハローワークなど、求職者の状況に応じた窓口があります。ハローワークは求職者に対しての公的な総合窓口になっています。
■借金などにお困りの場合 法律家に相談しましょう
消費者金融からの借り入れがあり返済に困っている、家賃や光熱水費の滞納がある、など、借金や滞納について何とかしたい、という方もいらっしゃると思います。
法律家などの専門家に相談したいが費用が払えない、そんな状況もあるのではないかと思います。
法テラスを活用すると、費用について立替えをおこなってくれたり、収入等の状況によっては、立替えてくれた費用の償還免除をおこなってくれることもあります。
借金やローンの返済に悩まれた場合は、専門家に相談することをおすすめします。
■民間の支援団体は?
ここまで、主に、公的な窓口を紹介してきました。
公的な窓口の多くは、都道府県、自治体ごとに設置義務があったりと、全国に広く存在しています。
一方で、民間団体の取り組みで、全国的な支援をおこなっているところは多くはありません。
私が所属している〈もやい〉でも、電話、メール、チャットでの相談は全国各地から寄せられますが、実際にお会いしたり、同行支援等ができるのはあくまで東京近郊の方に限られてしまいます。
また、子ども食堂やフードバンクなどの活動は全国各地でNPO等が実施していますが、網羅的に紹介できるようなリストやまとめはまだまだない状態です。
子ども食堂とフードバンクの活動については、ネットワーク団体でまとめているものについては下記に紹介します。
子ども食堂「NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ」によるまとめ
フードバンク「公益財団法人 日本フードバンク連盟」による加盟団体一覧
フードバンク「全国フードバンク推進協議会」による加盟団体一覧
とはいえ、お近くに、民間で支援をしているところもあるかもしれません。
例えば、全国的な相談対応をおこなっている「よりそいホットライン」などでは、地域の支援機関等とも連携していたり、情報提供等をしてくれる可能性があります。
0120-279-338(24時間365日の相談ダイヤル)
※岩手県・宮城県・福島県からは0120-279-226
■その他、全国規模で相談をおこなっているところ
ここまで、生活にお困りの方向けの支援制度や相談先について紹介してきました。
最後に、関連するかもしれない相談先として、全国規模で相談をおこなっているいくつかの支援分野について情報提供させてください。
悩みを聞いてほしい、不安を抱えて困っているとき。
厚労省:まもろうよこころ 電話やSNSで相談できるところをまとめています。
配偶者やパートナーからの暴力に悩んでいるとき。
内閣府 DV相談+ 電話やSNSで相談できます。
内閣府男女共同参画局 DV相談ナビ 「#8008」の番号にて電話で相談できます。
これ以外にもさまざまな政策分野、支援分野があり、すべてを網羅することはできません。
生活にお困りの方へ、ということで、簡単なまとめをさせていただきましたが、デジタル化が進んだ現在、こういった支援情報を一元的にまとめていくことができていない、というのも今の日本の一つの課題かもしれません。
■生活に困ったら支援制度を活用してください
長引くコロナ禍、物価高と、厳しい状況が続いています。貧困を、そして、貧困までいかなくても生活の不安を身近に感じている方は、今、とても多いのではないかと思います。
生活が苦しくなってしまった方は、自分の生活を守ることを最優先に、遠慮なくさまざまな支援機関に相談したり、公的支援等の利用をご検討ください。
支援や制度を利用すること、活用することは権利です。また、もし、お近くにお困りの方がいましたら、情報提供をしていただけますと幸いです。
※この記事は2023年2月3日7時時点で公表されている情報をもとに作成しました。支援制度等の情報は今後随時アップデートされる可能性がありますのでご注意ください。
「#生活危機」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の1つです。
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【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】