長い歴史に幕…昭和10年10月10日10時10分に操業を開始した東洋紡(株)入善工場【富山県入善町】
今回は、残念ながら休止が発表された「東洋紡(株)富山事業所入善工場」について紹介します。
東洋紡(株)
繊維を中心とした、化成や医薬など、幅広い製品の開発や製造を行う企業です。
東洋紡(株)富山事業所入善工場
入善工場は、綿花から糸を作る“紡績”を担当する工場です。高級糸や複合重層糸、ポリエステル綿などが生産されています。
例えば、中近東諸国で着られている男性用民族衣装の“トーブ”(石油王が着ている真っ白な民族衣装と言えばイメージできるのではないでしょうか。)用の高級糸を生産しています。”トーブ”は、東洋紡(株)の製品が最高品質とされ、偽物が出回るほどだということです!
入善工場は、昭和10年(1935年)10月10日10時10分に操業を開始しました。操業から約90年の時を経て、来年の3月末に長きにわたる歴史に幕を下ろすことが発表されました。入善工場での生産は2023年9月末で終了され、今後は富山県射水市にある庄川工場などに拠点を集約する予定です。
また、入善工場は、「とやまの文化財百選シリーズ とやまの近代歴史遺産」に登録されています。操業当時に事務所として使用していた建造物の屋根は、2面だけで造られたシンプルな切妻造り。玄関横にはインパクトのあるステンドグラスがはめ込まれ、二階ベランダや壁面の模様など、斬新で洋風のデザインとなっていました。
過去には、最大で3,000人の従業員がおられたということで、入善町を支えてきた企業であることが分かります。
「とやまの文化財百選シリーズ」
後世に受け継いでいきたい身近な文化財などを選定し、ふるさとの価値を再認識し、保存・活用をするきっかけにするために、富山県教育委員会が取り組む事業です。
「とやま近代歴史遺産」
富山県の近代化を支えてきた歴史的な遺産をテーマに選定されたものです。
最後に
近代化と入善町の発展に貢献されてきた東洋紡(株)入善工場が休止することは、とても残念ですね。工場は規模が大きく、立派な歴史的建造物でもあります。休止が決定した今、残された建屋や跡地をどのように活用するかが今後の課題になりそうですね。
※東洋紡(株)富山事業所様の許可を得て、撮影・掲載しています。
東洋紡(株)富山事業所入善工場
住所:富山県下新川郡入善町入膳6000番