ネットの常識や使い方、日米中韓の高校生の認知度の違いは!?
スマートフォンの普及によって未成年者でも容易にインターネットが利用でき、特にその浸透が著しい高校生では、マナーを守らない、使いすぎによる弊害が社会問題化している。この状況は日本だけのものなのだろうか。独立行政法人国立青少年教育振興機構が2015年8月に発表した、日本、アメリカ合衆国、中国、韓国の高校生における生活様式や意識に関する調査報告書「高校生の生活と意識に関する調査報告書~日本・米国・中国・韓国の比較~」(2014年9月から11月にかけて日本、アメリカ合衆国、中国、韓国の高校生に対して集団質問紙法で実施。サンプル数は各国で1560から2518)の結果をもとに、日米中韓の高校生におけるマナーの認知現状を確認する。
まずはソーシャルメディアや掲示板などにおける発言について。あるいは送り先が特定少数となるメールでも良い。ともあれ、インターネットで文字を用いて表現を行う場合、自分の言いたいことは何でも言ってよいものか、それとも自制をするべきか。
日本は今調査の4か国の中では一番自制がきいている。何を語っても構わないとする意見は2割にも達しない。強い否定派はアメリカとほぼ同じで約1/3。そのアメリカでは否定派が6割で肯定派が4割。韓国も肯定派は似たようなものだが、否定派の強い意見を有する人は1割にも満たず、4か国中もっとも「ネット上では自らの主張は何でも語ってよい」との認識を持つ高校生が多い。
他方、その「意見」も構成要素の一部となる、ネット上の書込みが信用できるか否かについて。結局のところは誰が、どのような場所(サイト)で行った内容なのかが重要。ネット上の書込みであろうと他の媒体であろうと、真偽を精査する対象となる情報には違いないのだが、傾向としてはどの国も否定的。
肯定派の意見はほぼ変わりがないが、否定派ではアメリカがもっとも強度の否定派が多く、過半数に届いている。次に多いのは日本、そして韓国、中国と続く。中国で強い否定派が2割程度に留まっている、そして誤差の範囲ではあるが肯定派がもっとも多いのは、お国事情と考えられる。
一方、ネット上でのコミュニケーションは、対面でのやりとり同様にトラブルが発生することがある。これは当然の話。またネットならではのリスクも存在する(身バレによる嫌がらせ、炎上事案、犯罪に巻き込まれる、詐取問題などなど)。それらを認識しているか否かについて。
日米は危機意識が高く9割前後は認識している。特にアメリカでは2/3以上が強い同意を示している。ところが中韓では同意派は6割足らずしかおらず、1割強は強い否定の意見を有している。両国はわずかではあるが「ネット上の書込みは信用できる」の設問でもやや高めの値が出ており、ネット上の情報への信頼感の違いが、リスク判断にも影響しているものと考えられる。
最後はインターネットへの傾注度。言い換えれば中毒度の自己認識度合いのようなもの。
意外にも日米中ではほぼ同率の3割が肯定派≒インターネットへ過度の注力を認識しているのに対し、韓国では2割に留まっている。強い否定派も日米中が1/4程度で韓国は4割近く。韓国の高校生の多くは、日米中よりも「自分はネット依存的な状態ではない」との自覚を示していることになる。第三者から見た客観的実情はともあれ、本人の認識はかくたるものであるとの実態は知っておいても損はあるまい。
今件4項目の肯定派意見を加算して肯定派とし、その際を一つのグラフにまとめると次の通りとなる。
トラブル認識の大きな差異をはじめ、高校生における国ごとの考え方の違いがはっきりと見えてきて興味深い。日本以外の高校生の意見や書き込みを見聞きする機会はあまり無いが、考え方を検証する上では大いに参考になるはずだ。
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