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【姫路市】モーニングとブランチのプレートは姫路城の瓦!?いぶし瓦の壁材や作品に囲まれて過ごす渋い時間

千姫文筆家・モデル(姫路市)

姫路城の「平成の大修理」において、鯱瓦や鬼瓦などを含む瓦製作と屋根工事を手がけた姫路市船津町のいぶし瓦窯元「光洋製瓦」。創業は1923年で100周年記念事業の一環として5月中旬、敷地内に「CAFE koyo」を開店しました。十二分にいぶし瓦に触れられる稀有なカフェなのです。

伝統の技術が培われたモダンな空間

カフェへ入るまでにも、多くの作品が並んでいます。「ようこそ」と歓迎されているよう。奥には作業場、窯もすぐそばに設置されていて。伝統技術が継承されてきた場所に心が弾みます。

愛犬も一緒に利用できるテラス席で、同社取締役・笹田裕子さんに話を聞きました。
いぶし瓦の素材は土、炭素、水。焼成の3日目に煙でいぶすそうです。目の前の外壁もいぶし瓦、見つめていると自然のものだからなのでしょう。肩の力がすうっと抜けていきます。

外壁材の種類はARAREやHARIMAのYAMAとSATO、と教えてもらいました。それぞれに趣があります。「いぶし瓦に接していただける機会になれば」と裕子さん。隣接する同社運営のゲストハウス宿泊者に朝食の場をと思ったこと、銀の馬車道沿いに位置するもののこの付近には店舗がなかったこともオープンのきっかけに。

外壁で、すでに瓦のトリコになった千姫でした。

入り口前の鯱瓦は姫路城の2分の1サイズで高さ1m
入り口前の鯱瓦は姫路城の2分の1サイズで高さ1m

カフェは、まるでギャラリー。同社で製造する壁材の全種類が使用され、達磨、唐獅子、鬼瓦、鷹といった作品も。この日のいぶしポットにはカラーが活けてありました。

迫力ある正面の達磨は京都・法輪寺(達磨寺)本堂に鎮座するのと同じ
迫力ある正面の達磨は京都・法輪寺(達磨寺)本堂に鎮座するのと同じ

なんとモダンで渋い空間なのでしょう。

珍しい直火炭焼き焙煎コーヒー

「KOYOブレンド 薫(いぶし)」は備長炭を使って焙煎したコーヒーです。深煎りで酸味が少なく、際立つ濃さ。香ばしくて後味は非常にすっきり。店内の雰囲気と相まって、うっとりしてきます。

「薫」はポットタンブラーで2杯分(600円)
「薫」はポットタンブラーで2杯分(600円)

モーニングはドリンク代のみでトースト半分とゆで卵付き。メインが選べるサービスセットも。特筆すべきはいぶし瓦のプレートで提供されること。素材も焼成窯も製造した職人さんも姫路城の瓦と一緒!! 高まる鼓動。

やさしく触り、ゆっくりと持ちあげてみました。いぶし銀が施されている箇所はザラッとしていて、重さはずっしり。

メインがアーモンドトーストの「サービスセット」(ドリンク代+350円)
メインがアーモンドトーストの「サービスセット」(ドリンク代+350円)

セットのメインはホットサンドやおにぎりなど5種類が用意されています。食材には地元農家の野菜や米、近隣のマリーポアラーヌのパンやタズミの卵。裕子さんのお気に入りを集めました。

千姫は蜂蜜入りの自家製アーモンドバターが楽しめるトーストに。じゅわっと甘さが広がり、さっと甘さがひく。オリーブオイルとバターで炒めて作る野菜スープも一味違います。

姫路鳩屋麦酒のビールやsalut le soleilのプリンはお土産にも。

鬼鈴や小物も販売しています。

裕子さんは「瓦では『いいものを作って、手にしたいという人の元へ』を大切にしてきました。カフェも同じです」とやわらかい表情で話します。“かわらぬ”気持ちが込められているのですね。しっかりと届きました。

CAFE koyo
兵庫県姫路市船津町5241-5 光洋製瓦内
電話番号:079-232-5295
営業時間:9:00~15:00(LO14:30)
※モーニングは11:00まで、サービスセットは13:00まで
定休日:日、月、火曜
駐車場:あり

文筆家・モデル(姫路市)

大好きな姫路のまちを、さらに元気に―。その一心で執筆をしています。千姫自身の率直な感想と取材で得たこぼれ話などを通して「ここに行きたい!」と心が動く場所を紹介していきます。元新聞記者、モデルとしてはファッションショー・ヘアショーに出演。 Yahoo!ニュースエキスパート2023年10月、11月、2024年3月 地域クリエイターMVA受賞

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