YouTubeとニコ動はどちらが…? 動画や画像共有サービスの利用状況をさぐる
YouTubeは2/3ほどの人が利用中
インターネット回線の高速化、各インターネット端末の映像処理能力の向上と映像処理技術の進歩、そして機動力に長けたスマートフォンの普及は、動画や画像を共有するサービスを飛躍的に浸透させた。言語の壁すら取り払う動画や画像の共有化は、言葉通りワールドワイドな世界を展開させるツールとして広がりを見せている。今回は日本で主流の動画共有サービスであるYouTubeとニコニコ動画、さらには画像の共有サービスとして名を知られているInstagramに関して、総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、利用状況を確認する。
まずはYouTube。
全体利用率は大よそ2/3。男女別では男性の方が7%ポイント近く高く、年齢階層別では20代がもっともよく利用して9割強を示しているが、40代までは大きな違いは無く高い値を維持している。そして50代以降は減退するも、60代以降でも3割ほどは利用している。
利用端末を見ると実のところYouTubuは携帯メインのサービスとなりつつある(その多くはスマートフォンだろう)。男女別では携帯電話の利用状況に大きな差異は無いものの、パソコン(PC)では男性の方が閲覧率はかなり高い。元々パソコンの利用率自身男性の方が高いため、当然の結果ではあるが、見方を変えれば女性の方が携帯経由の利用割合が高いことにもなる。
また10代から40代までも携帯が非常に多く、40代までは携帯の方が上な状態が続き、50代以降でようやくパソコン経由の利用者が増えていく。
書込み・投稿者の割合はさほど多くなく、パソコンで1.3%、携帯電話で2.1%。20代の携帯経由による投稿が突出しているが、それでも5.5%に留まっている。YouTube利用者の大勢は視聴側にあると見て良い。
ニコ動は20代では1/3強、パソコンと携帯がほぼ同率
続いてニコニコ動画。
全体では2割近く。男性の方が利用率が高く、年齢階層別では10代から20代が圧倒的で、30代以降は下がる。YouTubeと比べて汎用性の低さ、投稿される動画の傾向の違いなどが原因か。
利用端末別では興味深い動きが確認できる。全体ではパソコンと携帯電話がほぼ同率。性別では男性でPC・携帯間の値に変わりはなく、女性では携帯電話がやや多い。元々のインターネット接続用の利用端末の種類性向の違いが表れている。そして年齢階層別では10代から30代では携帯電話経由の利用者が上、40代以降はパソコンによる利用率が逆転して上となる。若年層が携帯電話経由でニコ動を楽しんでいる状況が確認できると共に、YouTubeと比べてもパソコンとの差異があまり開いていないことから、携帯電話経由による利用に何らかの問題があることが推測される。
また投稿傾向ではパソコン経由の方が携帯電話よりも高い値。パソコンでは20代、携帯電話では10代がもっとも高い値だが、それでも2%にすら届かない。
Instagramは若年層に大人気
最後は動画では無く画像共有サービスのInstagram。他のソーシャルメディアとの連動性も高く、かつてのポラロイドカメラ的な使われ方もされている。2012年4月にはFacebookが買収したが、その後も独立性を保ち、他サービスとの連動性も維持されている。
全体利用率は20.5%。5人に1人は使っている。男女別では女性が圧倒的に多く、1/4強で男性の2倍近くの割合。年齢階層別では10代から30代が主流で、20代に限れば半数に届かんばかりの勢いを示している。
利用端末・行動別では圧倒的に携帯電話経由が多い。また、閲覧だけでなく投稿率も高いのが特徴で、20代では1/4近くの投稿率を示している。40代でも携帯経由の閲覧率は1割強、投稿率も3.2%と、決して低くない値を計上している。
日本で利用できる動画・画像共有サービスは今回例示した以外にも多数存在する。また最近では録画した動画ファイルの共有では無く、リアルタイムでライブ配信をするストリーミング系サービス(例えばツイキャス、ニコニコ生放送、YouTube live、Ustreamなど)も注目を集めている。これらもさらに利用率が高まれば、あるいは調査対象項目として提起されるかもしれない。
冒頭で動画・画像共有サービスの拡大の理由をいくつか挙げたが、最大の要因はやはりスマートフォンの普及浸透にある。今後さらに端末の利用率は上昇することから、動画・画像共有サービスもまた同様に、その利用状況は活性化することだろう。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。
今件記事で用いられている回答値は、各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する値。回答時点で該当サービスを動画・画像の閲覧のみで利用しているか、書込みや投稿をしているか(設問では単に「書き込む・投稿する」とあるので、動画共有サービスにおいては動画の実投稿以外にコメントの記述などまで含むと回答者が判断したとする)。そして利用する際の端末はパソコン(PC。ノート、デスクトップを問わず)か、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンを問わず)かについて尋ねている。また単純な利用状況は「いずれからも利用していない」を元に逆算したもの。