【サンライズ出雲に乗ってみた】唯一の寝台特急!東京-出雲・乗車体験記
国内唯一の毎日運行する寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。切符の入手が困難な人気列車のひとつです。今回は出雲大社へのお詣りで利用した「サンライズ出雲」を紹介。ちょっとした乗車記もレポートします。
≪サンライズ出雲ってどんな列車?≫
「サンライズ瀬戸・出雲」は、1号車から7号車が香川県の高松駅行き、8号車から14号車が島根県の出雲市駅行きで、途中岡山駅で切り離し、それぞれの目的地へ向かいます。
東京駅を21時50分に出発して、出雲市駅には翌朝9時58分の到着です。運賃は、東京駅-出雲市駅間の乗車券¥12,210+特急料金¥3,100(閑散期)+寝台料金¥7,700。特急料金は繁忙期など利用日によって変わります。通常期¥3,300、繁忙期¥3,500、最繁忙期¥3,700。
東京駅9番ホームに入線する「サンライズ瀬戸・出雲」。旅行客のほか、出張するサラリーマンも利用していました。
サンライズ出雲の下りは8号車から14号車。今回は9号車のB寝台個室「シングル」を利用。
≪泊った個室を紹介します≫
個室タイプは「A寝台シングルデラックス」、「サンライズツイン」、「シングルツイン」、「シングル」、「ソロ」の6タイプ。さらに寝台料金がかからず乗車券+特急料金でリーズナブルに利用できる「ノビノビ座席(カーペット敷)」があります。
2人旅だったので第一希望は「サンライズツイン」でしたが、出雲、瀬戸ともに各4室しかなく予約できませんでした。そこで利用したのがB寝台個室「シングル」を2部屋。1番多い個室タイプで、予約できたのは2階建て車両の下段。窓が広い上段を取りたかったですが残念。通路を挟んで向き合う個室を予約できました。
B寝台個室「シングル」は、広さが1.9平方メートルほど。ベッドは縦が196cm×幅は70cmほどで、掛け布団はシーツをかぶせた毛布です。エアコンも効いているので冬でも温かく眠ることができました。
シングルには2階立て車両の上段と下段、そして平屋の3タイプがあります。下段にある個室の入口は170cm以上あって、頭上空間は想像よりゆとりがありました。
テーブル側の壁には、鏡やコンセントもありました。B寝台個室「シングル」に用意されたアメニティは、パジャマ、枕、使い捨てコップのみで、「シングルデラックス」以外にはタオルもないので、歯ブラシやタオルなどを持参することをお忘れなく。
スリッパが用意され、洗面など車内の移動に便利でした。
機内持ち込みサイズのキャリーケースは立てた状態でギリギリ収まりました。慣れている方はキャリーケースを使わず、大きめのショルダーバッグなどを利用している印象でした。
壁には車両の案内図や照明のスイッチ、目覚ましやエアコンなどのコントロールパネルがあります。ラジオサービスは終了しています。
個室のドアは4桁の暗証番号でカギをかけられるので、セキュリティ面も安心です。
≪他の個室を拝見≫
上段の個室は下段にくらべて天井高が低めになっています。ホームからの視線は下段よりも気にならず、天井の丸みに合わせて窓が頭上まであるので、夜空が見えると人気です。
天井が高い平屋部分に設けられた「シングルツイン」は2段ベッド。1人でも2人でも利用できて、1人利用の寝台料金が9,600円、2人利用はプラス5,500円。2人で使える個室が少ないのでこちらも人気のようです。
≪洗面やシャワーなど共用部分もあります≫
3号車と10号車には窓に向いたテーブルを備えた「ミニラウンジ」がありますが、争奪戦が激しく、乗車時刻とともに満席になっていました。2名利用できる個室が少ないので、友人同士や夫婦などがここで食事やお酒を楽しんでいました。
ほとんどの車両に洗面台が設けられ、コンセントを備え、ハンドソープを用意。カーテンで仕切れるようになっていて、ライティングミラーがあるのもうれしいです。
シャワー室は3号車と10号車にあって、利用するには車内の券売機でシャワーカードを購入します。先着順の人数限定なので、列車が入線する前から販売機に近い11号車の乗車口付近に、シャワー券目的の人が列を作っていました。出発したころには売り切れ。今回は購入が難しそうだったので自宅でお風呂に入っておきました。また、4号車と11号車には、A寝台シングルデラックスの利用者専用シャワー室もあります。出雲市駅から徒歩1分の場所に10時にオープンする「出雲駅前温泉らんぷの湯」があるので、到着後に利用するのもオススメです。
≪寝台特急の旅≫
東京駅出発は21時50分。人生初の寝台特急の旅はワクワク気分。シングルの下段からはホームを見上げるかたちになる、見慣れない光景です。
岡山駅到着は朝の6時27分。「サンライズ瀬戸・出雲」は、ここで7両編成ずつに分かれて、それぞれ出雲方面と高松方面へ向かいます。切り離し作業を見られのも旅の思い出になりました。前の車両の「サンライズ瀬戸」は、切り離すとそのまま高松へ向かいます。
倉敷美観地区でも多く見られるなまこ壁。倉敷駅では窓からホームの下を見ると、なまこ壁をモチーフにした模様が見られます。これは上段からは見られない風景ですね。
出雲市駅までは途中伯備線(はくびせん)を経由します。一部区間を除いて単線になるため、ときどきすれ違い停車があります。鳥取県に入ってすぐの上石見駅では、米子方面からやってきた特急「やくも」とすれ違い。こんな風に見上げると迫力満点です。
JR出雲市駅到着は9時58分。実に12時間8分、953.6km の旅でした。
≪実際に乗ってみてわかったこと≫
・持って行った方がいいもの
「サンライズ瀬戸・出雲」に乗るための必需品はタオルと歯ブラシです。個室にはパジャマが用意されますが、洗面など共用部には行きづらいので、くつろげる部屋着があるとベターです。
車内で飲食のとき、手が汚れたりするたびに洗面へ行くのも大変。ポケットティッシュとウエットティッシュは重宝しました。
・乗って気がついたこと
寝ていて気になるのがエアコンの吹き出し口。顔の真上にあるので、風が当たります(下段のみ)。エアコンを切るか頭まで布団を被るなど工夫が必要でした。
今回利用した下段は車輪の振動もそれなりに感じられ、岡山駅から米子までの山間部はずいぶん横揺れもします。加えて途中駅に到着する前の車内アナウンスがあって、敏感な方は熟睡できないかもしれません。
≪わたしはこうして切符をとりました!≫
「サンライズ出雲」の切符は乗車日の1カ月前の午前10時から発売されますが、個室は2、3分で売り切れます。
購入するにはいくつか方法があって、みどりの窓口か、JR東日本の「えきねっと(ノビノビ座席のみ)」やJR西日本の「JRおでかけねっと(ノビノビ座席のみ事前申し込み可)」などネット購入も可能です。ネットの場合は選べる種類が限られていたり、切符受け取り場所も限られるので、今回は個室利用ということもあり、1か月前にみどりの窓口で購入。
・手に入れる確率を高めるには
閑散期に乗車する。
比較的利用客の少ないみどりの窓口を利用。
10時前に行き、用紙に必要事項を記入して、10時数分前に窓口で発券をお願いするのがベストですが、他の列車を予約する方と同じ列に並ぶので、早めに窓口に並んでタイミングを計る(これが難しいです)のがいいと思います。また駅や駅員によって対応も異なります。
発売日の前に、駅員に購入方法を聞いておくと、アドバイスをもらえることがあります。入手困難と言われる貴重な切符なので、買えた時の喜びもひとしおです。