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北のミサイルも南の軍事演習もマンネリ化? 麻痺し、怖くない?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
北朝鮮のICBM発射と米韓空軍合同演習(朝鮮中央テレビと韓国合同参謀本部から)

 北朝鮮がミサイルを発射すれば、韓国は軍事演習を行い、それに反発して再びミサイルをぶっ放せば、軍事演習で対抗する悪循環が朝鮮半島では延々と続いている。相手の軍事行動は「挑発」と批判し、自国の軍事行動は「自衛」「抑止」と主張する構図も全く同じだ。

 「挑発」は相手を刺激して、事件や紛争を起こすように仕向けることを意味するが、どうみても、どちらとも挑発しているとは言い難い。どちらかといえば、「寄らば斬るぞ」と相手を威嚇しているようにみえる。その証拠に南北共に「相手を圧倒する軍事力こそが抑止力となり、朝鮮半島の安定と平和を担保する」と言い張っているからだ。

 しかし、現実には韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議(11月16-17日)の出席を前に行ったAP通信とのインタビューで「北朝鮮は我が政権発足以後、延べ87発の弾道ミサイルを発射し、朝鮮半島はもちろんのこと世界の平和と安全を阻害している」と北朝鮮を批判し、片や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記もまた、9月27日に開催された最高人民会議での演説で「侵略的性格が明白な大規模の核戦争合同軍事演習を再開し、朝鮮半島地域に核戦略資産を常時配置水準で送り込むことで我が共和国に対する核戦争脅威を史上、最悪の水準へと極大化している」と、韓国への不信を露わにしている。

 その結果、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射には必ず戦略爆撃機(「B-1B」や「B-52H」)で対抗するという恐怖の図式となっている。

 北朝鮮は今年2月18日に「火星15」、3月16日に「火星17」、4月13日に「火星18」、7月12日に「火星18」、そして12月18日に「火星18」と、ICBMを計5回発射している。

 一方、米韓は対抗して2月に「B-1B」を2回(1日と19日)、3月に「B-1B」を2回(3日と19日)と「B-52H」を2回(6日と30日)、4月に「B-52H」を2回(5日と14日)、7月に「B-52H」を1回(13日)、12月に「B-1B」1回(20日)投入して朝鮮半島で空中訓練を実施している。

 北朝鮮はICBM以外にも今年は短距離弾道ミサイル、戦略巡航ミサイル、新型小型弾道ミサイル、核無人機水中攻撃艇、地対地戦術弾道ミサイルなどを発射しており、それらをすべて合わせると、ミサイルの発射回数は延べ26回。これに3度の軍事偵察衛星の発射を含めると、韓国が言うところの北朝鮮の「挑発」は合計で29回に上る。

 米韓もまた、北朝鮮がICBMを発射した月以外にも戦略爆撃機を飛ばしており、その回数は13回に及ぶ。

 北朝鮮のICBMの発射は2017年から始まり、米戦略爆撃機も2013年から投入されていることからどちらもマンネリ化してしまい、双方が感じる脅威も麻痺してしまい、もしかしたら不感症になっているのかもしれない。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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