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平成ギャルの産物『デコ文化』がリバイバル!?コロナ禍でも楽しむ若者女子のデコり方とは

道満綾香Z世代のメディア「Z総研」アナリスト
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

『デコ電』『プリ帳』『ラインストーン』このワードを見て懐かしいと思う方も多いのではないでしょうか。

あらゆるものをデコレーションで可愛く変身させる、平成ギャルの産物『デコ文化』です。

このデコ文化が今、Z世代(1990年代後半~2000年生まれの世代)のオタ活(=オタク的趣味に関する活動)において流行し始めていることはご存知でしょうか?

コロナ禍においてリアルな場でのイベントやコンサートの開催が難しくなり、それに伴いZ世代のオタ活にも変化が現れています。

今回は、平成ギャルを彷彿とさせながらも、Z世代ならではのリバイバルされたデコ文化についてご紹介したいと思います。

コロナによるオタ活の変化

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私が所属しているZ総研が独自で行ったアンケートにて推し(=一推しのメンバーを略した”推しメン”をさらに短縮させた言葉。好きな人やものなど様々な対象に使われる。)がいるかどうかを尋ねたところ約9割と半数を大きく上回るメンバーが『はい』と回答しました。

しかし、コロナ禍の現在リアルな場でのイベントやコンサートの開催はほとんど無いに等しい状況です。

また、そのような公式からのイベントなどが無いと公式グッズというのも販売されにくいのが現状です。そのため、自作グッズを作ってコロナ禍でもオタ活を楽しんでいるZ世代が多くいます。

実際にリアルZ世代コミュニティーのメンバーは「コロナが流行する前はコンサートなどのイベントは出来る限り行っていましたし、会場でグッズも購入していました。しかし、現在このような状況なのでもちろんイベントはないですし、公式からグッズも発売されません。公式から発売されるグッズでもダサいものがたまにあるので笑。自作グッズは自分の可愛いと思えるものを心置きなく作れるのでコロナ禍は時間の余裕もできましたしたくさん作りました!」や「公式から発売されたグッズをもっと可愛くしたいと思って自分なりにアレンジを加えました!」との声が上がりました。

その結果平成ギャルの産物『デコ文化』がZ世代の目に止まったのです。

2000年代を彩っていたデコ文化

『デコ電』と呼ばれる、ラインストーンや大きなパーツで装飾し、大きなストラップをつけた携帯電話が大流行していたのは、2000年前後ではないでしょうか。

当時のギャルたちはこぞって自分の携帯電話をキラキラに装飾していました。

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(写真AC より)

そのほか、プリ帳(=プリクラを手帳やシール帳に貼り付けたもの)を作るなど、身の回りのものをたくさんデコることが流行っていましたよね。

当時はデコり方を説明する雑誌が発売されたり、そのための学校があったりなど、一世を風靡するほどデコることが大流行していました。

Z世代にも元々あったデコ文化とは

Z世代の場合、最初に持ち始めた携帯電話はガラケーではなくスマートフォンという人が多いです。

スマートフォン、特にiPhoneはケースの種類が豊富で人とかぶることがなかなかないため、デコる必要がありません。

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しかしZ世代の場合、あえてシンプルな透明のスマホカバーにステッカーを貼ったり[上記画像参照]、スマホケース以外にもペンケースなどはあえてシンプルなものを選び、装飾してオリジナリティを出す傾向があります。

あくまでデコレーションに使うのは、デコ電のときのような立体的なラインストーンなどのシールではなく、平面のステッカーやシールで、『映え』『おしゃれ』を狙った作り方をするのがZ世代のデコ文化でした。

しかし今、Z世代にも立体的なデコ文化が流行し始めているのです。

Z世代のラインストーンを使った”立体的な”デコとは?

今Z世代の間でジワジワとブームが来ている2000年代を彷彿とさせるようなデコは、オタ活で用いられているのです。

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特にK-POP好きのZ世代の間で流行しているようで、例えばトレカケース(=トレーディングカードを入れるためのもの)をデコって自作しています。

デコトレカケースは、推しのグッズを傷つけずに可愛く保管できるので、オタ活で重宝されているのです。

100円均一などに売っている硬化カードケースにキラキラのシールやラインストーン、立体的なシールを貼ったりしてデコっています。

その影響からか、100円均一でラインストーンが売り切れる店が続出しており、筆者も何店舗か回ったのですが、定番のシンプルなクリアのラインストーンには出会えませんでした……。

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韓国では今、一昔前のものを逆に新しいものとして楽しむことが流行しているため、韓国のトレンドをいち早くキャッチするK-POP好きのZ世代から従来のデコ文化が広まっていっているのでしょう。

他にもリアルZ世代コミュニティのメンバーは「特にコロナ渦では暇な時間が多かったので、たくさんの自作グッズを作って推しにタグ付けをしてInstagramで投稿することをよくやっていました!」とのことでした。

Z世代のデコ文化と過去のデコ文化の違い

過去のデコ文化といえば、自分の身の回りのものを可愛くするために行われていました。デコ電はその象徴でしょう。

もちろん、Z世代も自分の身の回りのものを可愛くするためにデコりますがそれだけでなく、推しを可愛く・もっと華やかに・綺麗にするために行います。

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自己満足ではありますが、”人のため”という要素も含まれているところが大きな違いの一つです。

また、日常的に使うものではないものをデコるのもZ世代の特徴といえます。

携帯電話など「常に持っているものを可愛くしたい」というだけでなく、「どうせなら持っているもの全てを可愛く、映えるものに」とデコっているのです。

まとめ

大人にとって懐かしいものは、Z世代にとっては見たこともない新しいもののように感じます。

過去にキラキラしていたものは、今のZ世代にも同じようにキラキラしたものに見えているのです。

やり方や使い方が少し違うだけで、いつの時代も若い子にとって魅力的に見えるものは変わらないのかもしれません。

次はどんなものを過去から見つけ出し、Z世代らしくアレンジして流行させていくのでしょうか。

<調査概要>

調査時期:2020年11月7日~11月13日

調査方法:インターネット調査

調査対象:全国、12〜15歳116名、16〜18歳157名、19〜22歳43名、23歳〜25歳8名、計女331名

※クレジットのない画像はすべて、『Z世代ラボ』並びに『Z総研』に著作権があるものになります。

Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。

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